プロレタリア作家、葉山嘉樹の作品見つかる 中国で


  「セメント樽(だる)の中の手紙」などで知られるプロレタリア作家葉山嘉樹が43年に書いた新聞連載エッセー「竿頭進一歩(かんとうしんいっぽ)」が中国の遼寧省図書館で見つかった。葉山の全集には未収録で、日本では作品そのものが見つかっていなかった。18日は、引き揚げ途中に51歳で病死してからちょうど60年になる。

  この作品は、葉山の43年7月の日記に「満州新聞へ13枚脱稿」と書かれていた作品。日本の国会図書館にもその時期の「満州新聞」がなく、長年確認できなかった。

  近代文学研究家の西田勝さん(76)=千葉県浦安市在住=が今夏、遼寧省図書館で当時の「満州新聞」の縮刷版を見ることを許され、43年7月13日から17日にかけて掲載されていたのを見つけた。

  「竿頭進一歩」は、工夫を尽くした上にさらに向上の工夫を加えるという意味。

  戦前・戦中に日本が進めた満蒙開拓で人々がお国のために食糧増産に突き進む様子が描かれ、祖国のために命をかけて働くことを鼓舞する内容になっている。

  葉山は戦時体制の進行で特高に目をつけられるなど、自由な作品が発表できず、生活が困難になっていく。30年代に転向し、翼賛的な文章を書くようになったとされる。

  戦争中に弾圧された文学を研究する西田さんは、「本心だったかわからないが、『転向』の問題を考えさせられる。いつの時代も追い込まれたときに自分の思想と節操をどう保つかが問われる。彼の姿は反面教師になる」と話している。

  作品は筑摩書房発行の「ちくま」11月号に全文掲載される。

  写真:満州新聞の縮刷版で確認された葉山嘉樹の「竿頭進一歩」=西田勝さん提供

  「asahi.com」 2005年10月19日

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