評論:今まさに築かれる東アジア共同体、その価値観


  欧州連合(EU)と、東アジアで進む経済の一体化とを比べると、EU加盟25カ国が共通の価値観とアイデンティティを共有しているのに対し、アジアの文化は違いが大きく、経済の発展水準も異なる。従って、東アジアには共通点が無い――という見方がある。私は、そういう説明は通らないと考える。(呉建民・人民政治協商会議外交委員会副主任、外交学院長)

  東アジアの協力は、歴史の積み重ねが少しできたところだ。東アジアの特性は、現在まさに形成されつつある。東アジア各国が協力を進める過程の中、共同の価値が生まれた。私はこの共同価値を「4つのCと1つの0」とまとめたい。4つのCとは「Consultation (協議)」「Consensus(合意)」「Cooperation(協力)」「Comfort Level(快適さの水準)」だ。さらに、ある東アジアの友人が5番目のCを加えることを提案してくれた。即ち「Closeness(関係の密接さ)」だ。

  1番目のCである協議。東アジア共同体を築く過程で、必ずや多くの問題に直面する。問題を解決する唯一の正しいやり方が、協議・話し合いであり、決して強制ではないことは、すでに東アジアの国々の共通認識となっている。

  2番目のCの合意。東アジア経済の一体化が進む中で、すべての問題は全会一致で決めてきた。もし1か国でも反対すれば、決定を見合わせ、実行に移さない。

  3番目のCは協力。東アジアの経済を一体化するための様々な努力は全て、協力を促進するためだ。

  4番目の快適さの水準。これはアジア人特有の尺度だ。「快適さの水準」とはどういう意味か?ある決定を下すと、ある国は原則的には何の不都合もないが、不愉快に感じる。このような状況では、他の国々も決定を見合わせ、全員が快く感じるようになるのを待って、改めて実行する、ということだ。

  5番目のCは関係の密接さ。東アジアの協力はきっと、各国の関係がさらに密接になるよう促すことだろう。

  では1つの「O」とは?それは「Openness(開放性)」だ。東アジア各国が互いに開かれ、世界にも開かれることだ。東アジアの国々は、閉ざされた地域主義ではなく、開かれた地域主義を貫く。東アジアの開放性は、知的向上心の現われでもある。われわれ東アジアの国々は、他の国々から学び、世界から学びたいと思っている。     

  以上の原則は、東アジア人の共通認識となっている。ある意味で言うと、東アジアの共同価値でもある。1つの地域の特性は空疎なものではなく、その地域の共同価値に基づいている。東アジア共同の価値観が、東アジアの特性を形づくる。この特性は東アジアのためになり、また世界に安心感を与える。

  中には、東アジア経済の一体化は1つのプロセスであり、特性について議論する必要は無い、という学者もいる。このような学者は、何が「特性」であるか理解していないかもしれない。いわゆる「東アジアの特性」とは、東アジアの国々に共通の特性であり、それぞれが東アジア共同体の構築に向け力を尽くす過程で少しずつ形成される「ゲームの規則」でもある。ゲームの規則には、ある地域の集団の特性が集中的に現れるものだ。東アジアのゲームの規則と、ほかの地域のを比較すると、一部は同じだが、異なる部分もある。これこそが、東アジアの特性がまさに形成されつつある、という格好の説明ではないだろうか?

  このようなゲームの規則、すなわち特性がなければ、東アジア共同体の構築は想像できない。従って、東アジア経済の一体化が現在までに挙げた成果も、想像することができない。(編集CS)

  「人民網日本語版」 2005年11月15日




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