新築は400平方m以上に制限 芦屋市が条例改正案


  日本屈指の高級住宅街とされる兵庫県芦屋市六麓荘(ろくろくそう)町(252世帯)で「敷地400平方メートル以上の一戸建て」しか新築できないようにする条例改正案を4日、市が議会に提案した。相続税を払えないなどの理由で土地を手放す地主が相次ぎ、住民が求める「閑静な住宅街」の維持が瀬戸際にあるためだ。高級感を最大の特徴とする芦屋ブランドを守りたい市が、住民の要望を受け入れた形で、全国でも異例の「豪邸しか建てられない街」が生まれることになりそうだ。

  六麓荘町の住民は、開発当初から町内会独自の協定を設け、高級住宅街の維持に努めてきた。協定では、建物は一戸建ての個人宅に限り、新築と増改築には町内会の承認が必要▽敷地は400平方メートル以上▽町内での営業行為は一切禁止する――などを制定。このため町内にマンションや商店はまったくない。

  しかし、バブル経済の崩壊後、資金調達のために土地を売ったり、相続税を払えなくなって土地を物納したりする住民が続出。町内の物件の約7割を手がけてきたという「芦屋不動産」(芦屋市)の深見徹五郎会長によると、この15年で約50件の土地が分割されるなどして手放された。土地を差し押さえられ、競売にかけられた例もあったという。

  住民の危機感が一気に高まったのが03年8月、甲子園球場のグラウンドの約半分にあたる約7400平方メートルの土地が一度に売りに出された時だ。バブル期は3.3平方メートル(1坪)あたり700万円した土地が約100万円まで下がり、協定に反して老人ホームを建てる計画が持ち上がった。住民たちの反対で一戸建て用地として分割売却されたが、住民たちは04年12月にまちづくり協議会を結成。市に条例づくりを働きかけてきた。

  市が提案したのは地区ごとの建ぺい率などを定めた「建築物の制限に関する条例」の改正案で、対象地域は、六麓荘町の全体約37.7ヘクタール。400平方メートル以上の敷地への一戸建て住宅しか新築を認めない▽建物の高さは10メートル以下にする――2点が柱で、町内会の協定を踏襲した。同市建築指導課は「高級住宅地としての芦屋ブランドを守りたいという意思が住民と一致した」と説明している。

  まちづくり協議会会長で、大阪土地協会理事長でもある武村泰太郎さん(77)は「土地の利用方法を条例で制限すれば価値が下がるという意見もあったが、住環境を保つための規制なのでそうはならないだろう」と話す。

  関東では東京都世田谷区が、同区玉川田園調布で都市計画法に基づく地区計画で敷地を160平方メートル以上と130平方メートル以上の2種類に制限している。同区成城では自治会が「成城憲章」を定めて250平方メートルを標準的な敷地とし、相続税対策で土地を分割する際は1件の広さを125平方メートル以上とするよう定めている。

  国土交通省市街地建築課の担当者は「一戸建ての敷地面積にゆとりを持たせる規制は他地域にもあるが、200平方メートル程度を確保する場合が一般的で、400平方メートル以上は聞いたことがない」としている。

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  <キーワード>芦屋市六麓荘町

  1928(昭和3)年、大阪の財界人らが設立した「株式会社六麓荘」が、香港の白人専用街区をモデルに開発したとされる。景観に配慮して電線を地下に埋めたり、治安維持のため町内会館に駐在所を設けたりと先進的な街づくりを進めてきた。六甲山系のおいしい水を飲むために自前で浄水場をつくったこともある。町内会の入会金は50万円。

  写真:敷地400平方メートル以上の住宅しか建設できない条例改正案が検討されている芦屋市六麓荘町(手前)=11月30日午後、同市で、本社ヘリから

  「asahi.com」 2006年12月4日

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