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  更新時間 :2007年02月28日17:26 (北京時間) 文字

ドラえもんへの手紙


  ドラえもんに手紙を書こうと鉛筆を持ちながら、私はふと困りました。私は子供の頃からドラえもんをよく知っていますが、ドラえもんはおそらく私のことを知らないでしょう。ですから、「初めまして」と言うべきなのか、それとも言わなくてもいいのかと、迷ったのです。

  「如果我有机器猫、我要叫它小叮当」――この中国語の主題歌を聴くと、多くの人が自分の少年時代を思い浮かべるそうです。ご飯を食べながらテレビの前で、『ドラえもん』が始まるのをずっと待っていたという経験がある人はとても多いです。私や八〇年代に生まれた中国の子供たちにとって、いつも失敗するのび太くんと、丸い手足のドラえもんは、「子供時代の象徴」でした。そして中国の子供たちが一番憧れるのは、のび太君でした。

  子供たちの世界は、大人のように煩わしいことはありませんが、それでも、試験が悪かった時は、母に内緒にしたり、父の目を盗んでそっと遊びに行ったり、また、友達をいじめたり、逆にいじめられたりと面倒なことはたくさんあります。子供たちの小さい頭の中で、これらのことは一番大きな悩みです。のび太君も同じです。のび太君の悩みは、まるで自分自身のことのように思えたのでした。私たちは、のび太君と同じような経験をたくさん持っています。怠け者で、授業をさぼったり、悪戯をしたり、そして努力しないで成功を夢見るなど、ほんとうに共通点が多くあります。のび太は私たちの分身です。

  たくさんあるドラえもんの中で、私にとって印象深いのは「蝸牛居」(デンデンハウス)という話です。「蝸牛居」の中に入ると、他の人に邪魔されず自分ひとりだけの世界が守れます。雨も、お母さんも、大雄君(ジャイアン)も、強夫君(スネオ)も、ぜんぜん怖くありません。

  私が「蝸牛居」を良く覚えているのは、この話がとても素直だからです。子供の時は、誰でも母親に叱られたことがあるし、試験が悪かったこともあるでしょう。私もそうです。そんな時、のび太君の「蝸牛居」のように「自分自身を守れる殻」がとても欲しいと思いました。今の中国は、日本と同じように、経済の発展とともに、社会競争も激しくなり、物質生活の豊かさに対して、八〇年代生まれの若者たちは精神面が弱く、学業や、就職のプレッシャーなど、今まで経験したことのない悩みや苦しみがあります。そして、その苦悩から解放される方法がわかりません。

  複雑なこの社会で「ドラえもん」は無邪気な主人公を通じて、現代の若者に「純粋な空間」を作りだしてくれます。この「ドラえもんスペース」は「蝸牛居」のように、自分を守る殻になって現実に疲れた心をいやしてくれます。最後は殻から出なくてはならなくても、たとえ一時的にせよ、「ドラえもんスペース」は自分を慰める空間です。

  のび太君が困るとドラえもんはいつも四次元ポケットからいろいろな道具を取り出して助けます。ですから、中国の子供たちの一番の憧れがのび太君というのも理解できるでしょう。そんな話を見ていると、私は自分の悩みも消えるほど嬉しくなります。勉強もスポーツもよくできないのび太君が一度も絶望しないで暮らせるのは、ドラえもんがそばにいるからです。ドラえもんは、知らず知らずのうちに、子供だった私たちに「楽観的で積極的な生き方」を教えてくれたのでした。

  それは、学歴社会の競争の中で失敗した若者にとっても、ひとつの大きな励ましです。ある分野でいつも群が抜けなくても、何か一つ長所がある、ということです。子供のように純真で正直な心を持って、元気を出して力いっぱいに生きるのはすばらしい、という励ましです。入学したばかりの小学校生たちはもちろん、受験勉強に苦しんでいる高校生でも、さらに就職活動に走り回る二十代の青年でさえも、みんな心のどこかで「ドラえもん」に励まされながら、夢を持ち、あるいは、失った夢をもう一度拾いあげているのではないでしょうか。

  私たちに、ひと時でも楽しみと励ましを届けてくれる、ドラえもん――ほんとうにありがとうございます。私が誰か知らなくても、私はドラえもんのことをずっと覚えているでしょう。私が大学を卒業して、数年過ぎた頃、もう一度会いたいと思います。それまで、さようなら、ドラえもん。
中国の一ファンより
(集美大学 陳 楠)

  特別提供:日本僑報社・日中交流研究所 http://duan.jp



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