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  更新時間 :2007年02月28日17:27 (北京時間) 文字

壁を取り除きたい


  「そんなに日本に行きたいなら、さっさと行けよ」

  「はい、私、日本に行きます。真実の日本と日本人をこの目で見に行きます。帰った時、日本ではこんな所に行った、こんなものに感動した、こんな優しい日本人と出会ったなど、ありのままの日本をすべてあなたたちに見せたい、伝えたいのです」

  今の私なら、きっとそのタクシーの運転手にそう言うだろう。でも、二年前の私は何も言えなくて黙ってしまった。

  ある日の夕方、タクシーで学校に戻ろうとした時のことだ。

  「あの、吉林大学までお願いします」

  「吉林大学か。俺の子も同じ大学だよ。君、何を専攻してるの?」

  運転手は親切に話しかけてくれた。

  「私、外国語を勉強しているんです」

  「すごいね。英語がぺらぺら話せるって」

  「いえ、英語ではなくて、日本語を専攻しているんです」

  「えっ、日本語!……今の若者ってさぁ、愛国心なんて少しも持ってないの。そんなに日本に行きたいなら、さっさと行けよ!」

  運転手はやや怒ったように言った。車の中の空気は急に冷え切ってしまった。中国では、「日本は嫌い」という感情を持っている人が今でもたくさんいる。その運転手がその一人だからといって、私は怒るわけにもいかず、黙って聞き流すことしかできなかった。「日本語を勉強しているだけで『親日』と呼ばれるなんて、とんでもない。でも、なぜ、私は日本語を選んだのだろう?」と、自分でもそう思うようになった。あの時私は、中国人の間に、日本に対する壁が確かに存在していると強く感じた。

  ある日、日本人の友達に思わずその話をしてしまった。

  「大学に入る時はさ、華やかなイメージを持たれがちな通訳者の姿を見て、『格好いいな』と思って日本語を選んだの。でも、こんなふうに言われるなんて、ぜんぜん格好良くないよ。なんか頑張っていく気がなくなっちゃった」

  「付さん、私たち初めて知り合った時のこと、覚えてる? あの時の私は中国に来たばかりで、道に迷っちゃったんだよね。その時、日本語の本を持っている付さんを見かけて、この人、日本人のことが嫌いじゃないかもしれないと思って聞きに行ったの。すると、付さんが『こんにちは』とあいさつしてくれて、どんなに嬉しかったか。そして、駅まで連れて行ってくれたり、到着駅の名前を丁寧に教えてくれたり……あの時、私、嬉しくて嬉しくて家に国際電話をかけた。『お母さん、私、中国人の友達ができたよ!』って」

  彼女の話を聞いて、あのときの情景が目の前に浮かんできた。別れる時、彼女がわざわざ中国語で「謝謝」と言ってくれて、本当に嬉しかった。その後も、「迷わずにうまく行けたかな?」とか、「ちゃんと到着駅の名前を覚えてくれたかな?」と、私はずっと心配していた。そうして、私たちは友達になった。それから、二人で綿のような雪を見たり、おいしいものを食べたりして、いろいろな楽しい思い出を作った。

  日本に帰る日、彼女がこう言った。

  「帰ったらね、ずっと心に残っている付さんの『こんにちは』や、綿のような雪やおいしい食べ物、何よりも、出会った中国人の一人一人の温かい笑顔など、私の見た、聞いた、感じたすべてのものを日本人に伝えたいの」

  彼女の言葉を聞いて、私は胸がすっきりした。なぜ日本語を勉強しているのか、日本語学習者の私にできる日中友好とは何か、長い間悩んでいたことがやっと分かったような気がした。

  将来、私は立派な政治家や外交官にはなれないかもしれない。でも、あの日本人の友達と同じように、もっともっと多くの中国人に「ありのままの日本」を伝えたいのだ。小さいことでもいい、自分が知っている真実の日本の姿を中国人に知ってもらいたい。そして、同じように、日本人にも真実の中国の姿を知ってもらいたい。それを積み重ねていけば、壁が少しでも取り除けると、私は信じている。(吉林大学 付暁せん)

  ※付暁せんの「せん」は王へんに「旋」

  特別提供:日本僑報社・日中交流研究所 http://duan.jp



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