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  更新時間 :2008年02月26日14:56 (北京時間) 文字

氷を溶きたい


  綿雪のような柳絮がふわふわと風に乗って遠いところへ旅立った。陽射しはもう瑞瑞しい初夏の匂いがした。そういう風景を見ていると、ある思い出が私の心の中に音もなく細波のように甦った。

  去年の冬休み、父の知人から中国に短期滞在する日本人の世話をすることを頼まれた。恵子という女の人で、私より二、三歳年上らしい。会ってみると、可愛いけれど冷たい感じがして凍えた底のない湖のような眼をしていた。「変な人ね、やはり日本人は付き合いにくいね」と私は心の中で呟いた。

  初めの頃、毎日顔を合わせるのではなく、ただ彼女が買い物をしたい時、付き合ってあげるだけの関係だった。ある日、彼女と買い物から帰る途中雪が降ってきた。彼女は手を伸ばして雪花がひらひらと空から掌に舞い落ちるのをじっと睨んでいた。「ね、何さん、中国人は今でも私たちを憎んでいるの」という彼女の声が私の耳に入った。この問いはあまりに突然で私は一瞬答えに窮した。「確かに私たちはあの苦しい歴史を忘れられない。戦争って数えきれない平凡な人々を食らう血腥くさくて残酷な悪魔だと思うよ。その悪魔を呼び込んだ人は悪人だと思う。けれど、平凡な一般人はいつの時代のどこの国でも犠牲者だと思うよ。だから、まず互いに心を開いて未来に向かって話し合えば憎む≠ニいう氷はきっと溶けるよ、きっと」私は一気にそう話した。恵子はいつの間にか私の手をしっかり握っていた。その手は暖かかった。

  その日から、私は彼女に中国の習慣や文化等について教えるようになった。彼女も日本のいろいろな事を教えてくれた。次第に、彼女の目は底の無い湖のような瞳ではなく、澄んだやわらかさが宿っていった。

  いよいよ彼女の帰国の日が来た。別れる時、彼女は「何ちゃん、ありがとう、あなたのおかげで祖父の心を慰めることができるよ」と言った。「おじいさんってどういうこと」と聞きたいけれど笑顔で「元気でね」としか言えなかった。彼女がタクシーに乗ったとたん、周りの風景は全部ぼんやりし始めた。別れて数日後、彼女からのメールが届いた。それによって全ての謎は解けた。「二十年前、私は親に事故で死なれて祖父に引き取られた。中国に行く二ヶ月前、私を一番大切にしてくれた祖父が亡くなった。彼は重態の時、私にこう話した。『恵子、じいちゃんは悪者だよ。戦争に参加して中国人を殺してしまった。戦争を起こした我が国は悪かったよ。中国人はいつまでも私を許してくれないだろう』祖父は泣き崩れながら話し終わらないままあの世に行ってしまった。その時、私は中国に行こうと決心した。最初は祖父の話をして謝り、殴られる覚悟をして行ったけれど、どうしてもそれができなかった。けれど一人一人の中国人は日本の軍国主義を憎んでも日本人を憎んでいないと分かった。今、祖父はきっとどこかで微笑んでるでしょう。何ちゃんとの出会いも最高よ。ありがとう、互いに国のため、両国友好のため頑張っていこうね」彼女のメールを読み終わって涙が溢れてきた。

  考えてみれば、恵子は日本そのもの、私は中国そのものと言える。互いに、先入観無しに付き合った結果、親しくなりいい友達になった。恵子の祖父も死に際まで後悔し、心から謝っていたと言う。彼もまた軍国主義という悪魔の犠牲者だと思う。だから、中国と日本は過去は過去とし、まず先入観なしに、とにかく明るい未来を志向して交流を深めていけば、様々な誤解も解消され、厚い氷も溶けると確信する。

  あれ以来、恵子は私の心の友となったのだから…。

  (何美娜 河北大学)

  特別提供:日本僑報社・日中交流研究所 http://duan.jp/jc.htm



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