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  更新時間 :2008年02月26日14:56 (北京時間) 文字

母の日本語


  数年前。私の故郷――福建省の永定で日本語ブームが高まったことがありました。日本語の語学教室は花盛りで、私の母までも日本語に夢中になりました。そのきっかけは、とても小さく、そして偶然からでした。

  ある日のことです。母がビスケットの包装紙に、見慣れない文字を見つけました。その文字は母にとって、そして私にとっても、何かの記号のように不思議なものでした。実は、そんな小さなことが、母が、そして私さえもが日本語を学ぶことになるという、新しい世界への扉だったのです。

  母は、さっそく、その包装紙をもって日本語の先生のところに行きました。家に帰って来た時はもう、奇妙な発音で、耳慣れない言葉をいくつか、何回も繰り返していました。

  「コニチワ、チュゴクジン、コニチワ、チュゴクジン」

  母の奇妙な発音練習は、それから毎日続きました。

  宿題に追われていた私は、やがて母のその発音に我慢できなくなり、ある日、ついに、

  「お母さん、もうやめて! その変な発音には耐えられないわ」と大声を出しました。

  「わかったわ」と答えるものの、母は、またすぐに練習を続けます。「これはね、日本語という言葉よ。李さんから教えてもらったの」母は、少し得意げに私に言いました。

  それを聞いて、私も好奇心が生まれました。「へー、日本語? ふーん、面白いわね、字の形も発音も」

  「そうでしょう! じゃ、一緒に読んでみようか?」

  こうして、ついには私までも「コニチワ」「ワタシイ ウワ チュゴク ジン デスン」と、奇妙な発音を繰り返すことになりました。

  今から思えば、母と私の発音は、きれいとは、とても言えませんでしたが、初めて日本語という外国語に触れた母は、普段の母とはちがって見えたものです。

  やがて、私は大学で日本語を専門に学ぶことになりました。初めの頃は大学生活にも慣れなくて、毎日のように電話で母にぐちを言いました。そんな時、母は「日本語の勉強は少し忙しいだろうけど、コツコツ努力すればきっと報われるよ」と励ましてくれ「ほらね。ちょっと聞いて」と新しく覚えた日本語を話します。が、その発音は相変わらずで、あの頃のままです。

  考えてみると、母が偶然に日本語と出会って、私に日本語の第一課を教えてくれたのでした。そして、私もまた、偶然に大学の日本語課程に入り、風俗や文化など、日本についての知識も増えました。こうして二つの偶然が重なったとはいえ、日本語という言葉が母と私の間に太い橋をかけてくれたのではないかと思えるのです。

  こんな母と私のように、中国人と日本の人たちの間にも、私は日本語という言葉で、太い橋をかけることができると思うのです。それは、日本語の学習を通して、今自分が知っている真実の日本の姿を中国人に伝える一方、中国のことも日本の人々にわかってもらう、という架け橋です。私の日本人の先生は「窓を開ける」と言いました。閉ざされた部屋に窓を開く。「未知の世界への扉を開く」とも。海と海で隔たれた所に橋を架ける。そして、人と人が、手と手をつなぐ――言葉は、そんなことを可能にする、不思議な、そして強い力を持っていると思います。

  日本語の勉強は困難も多く、諦めたい、と思うこともあるでしょう。でも、そんな時には、私には魔法の言葉があります。初めて耳にした、母の日本語――「コニチワ」「ワタシイ ウワ チュゴク ジン デスン」

  その奇妙な発音を思うと、なんとなく勇気がわいてくるのが不思議です。

  (廖孟●  集美大学(●は女+亭))

  特別提供:日本僑報社・日中交流研究所 http://duan.jp/jc.htm



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