電子廃棄物汚染から考える日中環境保護協力


  先日、病院に勤めている母がこう言った。

  「最近、重金属中毒のような患者が何人も病院に来るの。清遠市郊外の『龍塘』に住んでいる人達みたい。そこの工場から有害物質が放出されて、周囲住民が健康被害を受けたんじゃないかな。本当に心配よ」

  中国国内においても、日本のイタイイタイ病と同じような症例が発見されたというニュースは私も知っていたが、どこか遠い地域での話にすぎず、自分が住んでいる所は安全だろうと思い込んでいた。しかし、美しい観光地として有名な私の故郷でも公害が発生しているという話を聞いて、とても驚いた。私は早速地元の新聞記者をしている友人と連絡をとり、この件について尋ねてみた。彼の話は想像以上に深刻なものだった。

  「人口十万人足らずの龍塘には、一〇〇〇以上の電子廃棄物加工工場がある。工場を建てるために多くの森林を伐採したんだ。ある村では、全ての村民が原始的な方法で、金属を取り出す仕事に従事している。婦人も子供もだよ。そこでは電子廃棄物は、『舶来ごみ』と呼ばれているが、外国語の文字が書かれている表示を見ても、彼らは意味がわからないんだ。加工場といっても全部露天場で、彼らは皆素手で作業し、どんな防護措置もない。『舶来ごみ』には一〇〇〇以上の化学物質が含まれていて、そのうち半数が鉛、水銀、カドミウムなど有害な化学物質や重金属なんだよ。だから、長年働くと皮膚がただれるとか腎臓結石になるとか病気になる人も多い。奇形児が生まれたこともあるそうだよ」

  今日、世界各国で廃棄される電子製品は急激に増加している。アメリカ、日本などの先進国は、その「ゴミ」を中国、インドなどの開発途上国に多く輸出している。それらの国では、転売目的で電子廃棄物の解体作業が行われているが、その過程において放出される有害物質が鉛中毒などの深刻な健康被害を招いているという。毎年、世界の電子廃棄物の実に七十パーセントが中国に送られてくる。「中国は世界一の電子廃棄物ゴミ捨て場となった」のだ。この世界では年間二―五〇〇〇万トンの電子廃棄物が捨てられており、これは鉄道コンテナが地球を一周してしまう量だという。この七割が如何に大きな数字か、考えるのも恐ろしい。このままでは、私の故郷だけではなく、中国あるいは地球全体も、いつか人間が住めない所になってしまうかもしれない。

  「利得のみに盲進する社会・経済概念は、地球汚染の元凶である」とよく言われる。電子廃棄物がもたらす環境汚染や人々に与える健康被害について知っている人は、実は少なくないと思う。けれども、一部の企業や人々は小さな利益を得るためにそのような事実に目をつぶっているのだろう。

  このような被害を少しでも早く食い止めるために、まず中国側自身の取り組みを徹底する必要がある。法律を整え、適切に施行することが求められるだろう。しかし、一方で、高度経済成長期における環境汚染を経験し克服してきた先輩ともいえる日本、また電子廃棄物の発生源でもある日本からの支援もまた不可欠ではないだろうか。中国は人口も多く、経済や教育における格差がまだ大きい国である。自分たちが扱っている「ゴミ」がどんなに危険なものなのか、まったく知らないまま作業し、わずかな金を稼いでいる人々がたくさんいる。実際、今の中国はそのような廃棄物を適正に処理する能力を十分に持っているとは言い難い。公害や環境汚染等に対する知識も経験も豊富な日本の人々にも、是非この事実を知ってもらいたいと思う。

  環境保護を推進するためには、一つの国にとどまらず、国境を越えた取り組みが不可欠である。自国以外の場所に「ゴミ」をすてたら安心、という発想は改める必要があるだろう。環境保護をキーワードに、国家という狭い枠を乗り越えて、中日が互いに協力し合える関係を築いていけたら、と願っている。

  (陳●馨 曁南大学 (●は音+欠))

  特別提供:日本僑報社・日中交流研究所 http://duan.jp/jc.htm




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