中日「歴史ドラマ」の違い 日本の「大河ドラマ」は時代考証が厳格
「葵徳川三代」(資料図) |
中国のネット上ではこのほど、中国ドラマ史上最高の製作費との触れ込みで先月から放送を開始した歴史ドラマ「楚漢伝奇」に対し、「歴史事実に厳格でない」「客観性に欠ける」「不道徳だ」などの「ダメだし」が視聴者や評論家から続出している。「楚漢伝奇」の不人気の背景には、歴史を題材とするテレビドラマの氾濫がある。テレビドラマ市場の盛り上がりを背景に選択肢が増える中、ドラマに対する視聴者の目も肥えてきている。
歴史を題材にしたドラマはどのように撮ればいいのか?隣国の日本を参考にしてみるのも悪くない。日本では1963年から毎年NHKが歴史を題材にしたドラマを制作しており、「大河ドラマ」と呼ばれている。大河ドラマは、中国の一般的な歴史ドラマより、時代考証が非常に厳格だ。日本では大河ドラマに出演することは、演技力を持つ役者であることの一種の証明となる。
大河ドラマ冒頭のタイトルロールにはいつも俳優とスタッフの名前による非常に長いクレジットが流れる。そこには時代考証スタッフの名前も列挙されている。当時の衣服、方言、乗馬の際の姿勢にまで、専門家による時代考証の研究が生かされている。日本のテレビ局の歴史事件の時代考証の正確さには驚かされる。例えば大河ドラマ「葵徳川三代」の第一話で描かれた「総括・関が原の戦い」の中では戦いが始まる時間が正確に何時何分だったかまで考証されている。一方、中国の歴史ドラマは、時代考証のアドバイザーが数人しかおらず、中には名義貸しだけだったり、名前が売れていても実力が伴っていなかったりする人も含まれる。
日本の歴史・文化は中国の深さには及ばない。そのため、大河ドラマの題材は中国の歴史ドラマに比べるとずっと狭い範囲に限定される。しかし大河ドラマはつねに歴史背景にある日本人の魂のよりどころを描こうとしている。人物はさまざまな闘争や殺意と陰謀が渦巻く中、胸に忠誠心や道徳、勇気を抱えて生きている。それに対して中国の歴史ドラマはつねに人々が群がって道徳心にかけた宮廷闘争劇を繰り広げる。
テレビドラマで描かれる内容が多ければ多いほど、いっそうの注意が必要となる。ドラマ制作側は、投資額や脚本家の知名度、視聴率ばかり気を取られるのではなく、どうすればより厳密な歴史ドラマを制作できるのかを考えるべきだ。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年1月24日