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更新時間:10:48 Aug 14 2008
芥川賞作家、楊逸さんインタビュー(2)
 楊逸さんが日本語での創作に挑戦したのは、危機に駆られてのことだ。3年前、日本メディアは中国で「反日デモ」が勃発したとして、天地を覆い尽くすような報道を行った。これを受け、彼女の生徒の数も急激に減った。「あの時は、特に暇だったんです」と、楊逸さんは意味深長に語る。

 生きるために新しい仕事を探さなければならなくなった時、文章を書くのが好きだったことを思い起こした。中国語で書く?「中国に投稿するには、知人がいないので難しい」。中国の刊行物での可能性はないと分析した。では、日本の中国語紙はどうだろう?この道も却下した。理由は簡単だ。「原稿料が安いから」。なにしろ、子ども2人を養わなければならないのだ。「日本語で書く道しかなかったんです」と、楊逸さんは言う。

 2005年の暇な日々、一日中「家であれこれと考えをめぐらせ」、処女作の「ワンちゃん」を書き上げた。日本語で創作する上での最大の障害を尋ねると、「書き始めは、とてもすらすらとはいきませんでした」と率直に認めた。「でもわたしには、この道を行くしかなかったんです。ただ勉強しながら書いていくしか」。書き終えた後に大きな修正はあったかと聞くと「出版社が誤りを見つけて直してくれるなど、多少の修正はありましたが、大きなものはありません。誤りでなければ、変更しません」とのこと。

 石原慎太郎氏も芥川賞の選考委員だが、体調不良で出席しなかった。後に3段階評価(○×△)で△にしたことを明かし、「時が滲む朝」は「ただの『風俗小説』だ」と記者会見で述べた。

 「日本文学界はあなたの『要素』を受け入れるのか」と聞くと、楊逸さんは笑って答えず、担当編集者の信田さんに質問を振った。信田さんは文藝春秋社の若手編集者だ。信田さんによると、芥川賞選考委員会は、前回の「ワンちゃん」では日本語の表現にまだ未熟な部分があると評したが、「時が滲む朝」ではそうした声は聞かれなかった。信田さんは「中国人だからこそ、こうした日本語が書けるんです」と指摘する。楊逸さんの小説には、日本人には書けない独特な表現が多くあるのだという。

 楊逸さんは4万字の処女作「ワンちゃん」を2週間で書き上げた。同作は第138回芥川賞の候補作になったが、日本語表現の問題で受賞には至らなかった。第2作「時が滲む朝」は3カ月で書き上げ、「文学界」(2008年第6期)に発表した。

 受賞後の生活の変化については「受賞後、学校を2カ月休ませてもらいました。今はテレビやラジオの取材があり、スケジュールはぎっしりです。毎日午前中から午後までいろいろな事があり、緊張します」と答えた。

 ここ数年、生活は楽でなかった。日本人の元夫とは1998年に別居し、2年後に正式に離婚した。日本で子ども2人を女手1つで育てるのは、特に大変だと言う。元夫は養育費を決して払わない。合意の上での離婚ではないからだ。元夫が離婚を拒み続けたので、楊逸さんは書類をこっそり持ち出し手続きを取った。「前の夫にはお金を求めないし、関係もありません」。

 現在、上は男の子で高校2年生、下は女の子で中学1年生。2人とも日本国籍だ。昼間、子どもたちが学校へ行き、自分も授業がないと、帰宅して執筆する。年に1回のペースで哈爾浜に帰っている。子どもたちは2人とも中国語がわかり、祖父母と会うにも支障はない。

 専業作家の道を選んだのかと最後に聞くと「わたしは教えるのも好きなんです」との答えが返ってきた。(編集NA)

 「人民網日本語版」2008年7月23日
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