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更新時間:09:58 Mar 10 2009

日本映画はなぜ中国に先んじて国際的賞に輝くのか

 このほど、中国の陳凱歌 (チェン・カイコー)監督の『花の生涯-梅蘭芳-』はベルリン国際映画祭で賞を逃したが、日本映画の『おくりびと』は第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、加藤久仁生監督の作品『つみきのいえ』も短編アニメ賞に輝いた。日本映画の二冠獲得は54年ぶりだという。麻生太郎首相も「よかった。すごくめでたい」と喜びを語った。ノーベル賞と同じように、中日の映画の受賞の落差は両国の映画文化の長期にわたる蓄積の結果であり、幸福の神が日本に微笑んだというわけではない。

 20世紀、有声映画が日本から中国にもたらされた。抗日戦争の時代、日本は長春に極東最大の映画制作会社「満洲映画協会」を設立して、中国の植民地化を美化し、「日満親善」を鼓舞する映画を撮った。この映画制作会社は後に新中国初の映画製作所「長春電影制片廠」へと発展する。改革・開放初期、日本の映画作品が中国で上映され、その起伏に富んだプロットやきめ細かい人物表現は、長い間停滞し閉塞していた中国映画界や観客に新鮮な感覚をもたらした。

 中国映画が国際的な賞を獲得したのは、日本より30年以上遅い。黒澤明監督の『羅生門』は1951年に優れた制作技術、奥深い哲理、完璧な表現方法によってヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞し、世界ベスト映画10作品にも選ばれ、世界の映画界の芸術スタイルと潮流を牽引した。

 アニメの巨匠、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は日本の興行成績トップの作品であり、アカデミー賞やベルリン国際映画祭グランプリも受賞している。これはアニメ作品が獲得できる最高の栄誉である。

 『おくりびと』は遺体を棺に納める納棺師の生活を描いた作品であり、温かく細やかなタッチで生と死の尊厳を映し出し、人生の厳しさや温かさ、家庭の喜びや悲しみを表現している。この作品は日本国内の重要な映画賞を総なめにし、世界ではほとんど誰も観ていないという状況の中で、アカデミー賞外国語映画賞を獲得して、最大のダークホースとなった。受賞の理由は、人間らしい輝きが描かれ、それが洋の東西を問わない価値観と一致しているからである。

 中国映画は日本でまず認められ、それから世界に向かった。1987年、張芸謀(チャン・イーモウ)主演の『古井戸』がアジア最大の映画祭、東京国際映画祭でグランプリを受賞。1988年2月には張芸謀監督の『紅いコーリャン』が第38回ベルリン国際映画祭でグランプリを獲得した。これは、中国映画ブーム--第5世代監督の映画が新たな姿で国際舞台に登場し、大きな賞賛を得たことを意味する。2001年には、華人のアン・リー監督の『グリーン・デスティニー』がアカデミー賞で外国語映画賞など4部門を受賞。中国の監督たちはこの受賞に鼓舞され、アカデミー賞との連戦連敗の戦いを開始する。

 魯迅はかつて言った。民族的であればあるほど、世界的であるのだと。そのため、農村や伝統文化、武侠を題材とすることは、中国映画が国際的な賞を獲得するための唯一無二の方法となった。しかしいつも上手くいくとは限らず、かえって保守的になって革新的な手段に欠けてしまった。張芸謀の『HERO』はアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたが、最終的に受賞を逃し、陳凱歌の『PROMISE 無極』にいたってはノミネートさえ果たせず、中国映画と世界一流の映画との距離をまざまざと思い知らされた。

 中国映画はベルリン国際映画祭ですばらしい戦果を挙げている。『トゥヤーの結婚』と『紅いコーリャン』はグランプリを獲得し、今年唯一の中国語圏の映画『花の生涯-梅蘭芳-』も大いにメディアの注目を集めた。しかし、露出と受賞はまったく別のもの。多くの外国人が拍手を送るのは単なる好奇心からである。『花の生涯-梅蘭芳-』は、理解するのが難しく、ロマンスも平淡、芸術表現が限られており、手法も硬直していると評価され、人間の倫理道徳を掘り起こし、新しい表現方法を重視するベルリン国際映画祭では淘汰されてしまった。アカデミー賞外国語映画賞のノミネートにおいても中国語圏の映画は2年連続で撃沈している。アカデミー賞といえども、オリンピックを攻略するよりも難しいのである。

 映画界におけるアカデミー賞の地位は、科学技術界や文学界におけるノーベル賞ほど高いわけではないものの、世界の映画界の最大の祭典であることは間違いない。中国国内では多くの人が、中国人はもっとリラックスしてアカデミー賞を見るべきだと考えているが、国際的な賞を獲得することにこだわっていない中国の監督はおらず、みなが切なる望みを抱いている。とくに、日本映画の受賞は、中国人にとって複雑なもの。中国の映画人も努力を続ける必要がある。

 (文=王錦思)

 「チャイナネット」2009年3月9日

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