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父・私・WIN WIN関係

 「竜、ここにきて」(私が辰年生まれなので父は私をこう呼ぶ)

 父は興奮しながら言った。

 「はい、父さん、何?」

 私はそう答えた。

 「あのさ、君が日本語の専攻に決まったから、父としてとても嬉しいよ。何かを言いたい気持ちだ」

 「そうか。父さん、日本語が専攻に決まって僕も嬉しい!」

 私はにこにこと言って、父もにこにこしていた。

 続けて、父は話を始めた。私は静かに聞いて、心の中で父の話を想像していた。時間も父の話を聞きたがっているように、前に進むことを止めて、五年ほど前に戻りそうだった。

 五年前、父は故郷に近い町の役人だった。町の経済を促進するために、多くの有名な企業を誘致し、いろいろな経済政策を定めた。海に臨んでいるから、シーフードを売り物にして、発展のスピードは速かった。

 海の資源をさらに利用するために、父はその時、多くの会社や企業などを招きたいと思っていた。ちょうどその時、ある日本の海苔会社がこの町にきて、父と交渉した。会社の名前が面白かったので、今でも私は覚えている。「神仙紫菜(神の海苔)」という名前だ。

 ここまで語った時、父は一本のタバコを点けた。深く吸ってから、続けた。きっと何かうまくいかなかったことがあったのだと私は思った。

 町は海に近いので、海苔は豊かだ。海苔を利用して、日常生活の食品として市場に送って商売したら、成功するに違いない。そう思っていた父はその会社と商談を行った。

 しかし、両方の価値基準は国の違いによってずいぶん差異があった。コストをなるべく省こうとする日本の会社と生産の場所の賃貸料や原料価格を高くするつもりだった父との初めての商談は失敗した。

 「あの時、あきらめようかと思った」と父は言った。

 「父さん、僕はその時の父さんの気持ちが分るよ。大きな立場の違いを無視するのは無理だ。でも、同じ立場になれる部分を捜せば、きっとやれるよ」

 「そうだよ。ああ、竜の考えは大人になったなあ」と満足げな笑顔で言った。

 商談が失敗した後、父は毎日賃貸料が安い場所を捜した。ほかの役人と会議を開き、海産物の原価を十分に検討した。毎日苦労して、やっと価格をできるだけ低くした上で十分な利益も得られる見通しがついた。

 もう一度「神仙紫菜」と商談を行った。コストを省いたので、日本の方も、父と合意ができて町に大きな支社を設立することになった。

 「ようやく成功した!」父は喜んで言った。

 こんな話だった。私はその時、父をとても尊敬した。

 「今、竜の専攻が日本語だということと五年前日本の会社と商談したことと、何かつながりがあるようだ。じゃ、大学に入ってよくがんばってよ!」と父は楽しそうに言った。

 五年前、私が中学生だったときは、父と日本の会社の関係を全然理解できなかっただろう。中国の歴史を習ったあと、中日甲午戦争と第二次世界大戦のせいで日本のすべてを嫌っていた。私の仲間たちもそうだった。小さいころの私たちは、政治の問題がわからなくて、興味もなかった。なんだか日本に関するすべてのものが悪いもののように思っていた。それは私たちが幼かったからだ。

 大学に入ってから、日本語の勉強を始めた後、日本についての考えが更に変わっていった。日本と中国のつながりは私の想像以上に強い。「神仙紫菜」のような会社が中国に進出すれば進出するほどますますつながりは強くなる。人も同じである。中国で留学したり、働いたり、先生になったりする日本人はますます多くなっている。これらの人々が中国と日本の将来のWIN WIN関係を築いていくのである。
父は「神仙紫菜」と何度も交渉して、海苔の生産規模をとても拡大し、経済的利益を得ている。小さな海に臨む小さな町が市で一番外国資金を利用している町になったことは、私の心に大きな影響を与えた。

 一方、両国はWIN WIN関係のために、真剣に問題の起きることを防がなければならない。問題をまったく起こさないのは無理である。しかし、WIN WIN関係を築くために、まず問題を解決する必要がある。これは一番重要である。父の経験から教えられることは多い。それを有効に使うことが出来ればいいと思っている。

 父が言ったように、「両国が同じ立場になれる部分を探して、深いところから解決の方法を考えれば、必ず道はある」というのがWIN WIN関係を築くポイントである。両国は相反しながらも立場がつながっているところはある。このつながりから、解決の道ができるのだ。

 誰でもWIN WIN関係がよいと思っている。私も父もそうだ。心の中でこれからのすべてが、順調に進むことを祈っている。

 (張傑 山東大学威海分校)

 特別提供:日本僑報社・日中交流研究所
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