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鈴木先生と出会って

 人と人を結ぶ深い感情は国が違っても変わることはない。そして、そういう感情が今、中日両国の間でますます重視されてきている。

 大学に入ってから日本語を初めて習った。そのおかげで鈴木先生に出会った。彼は日本人である。鈴木先生を通して、初めて実際に身を以って日本人を知ることができた。

 私の大学は杭州の隣の臨安という街にある。臨安の夏は、ひどく蒸し暑い。ある日の授業のことだ。授業の始まる午後二時の五分前ぐらいの時である。先生はいつものように教壇で授業の内容を確かめた。突然、少し困ったような表情を顔に浮かべて、「皆さん、まず習ったばかりの前回の会話を復習してください。CDを一枚、忘れてきてしまいました~」と言いながら、先生は走らんばかりに教室から出て行かれた。約八分後、先生は全身を汗びっしょりにして息を切らせながら教室に戻って来られた。そのCDはオフィスにではなく、お宅に忘れてしまい、取りに帰っていらしたのだ。それは後になって知った。教室からお宅まではとても遠いうえ、その日はひどい日差しだったのに、まったく何でもなさそうにお宅に戻ってそのCDを持って来られた?

 その時、汗びっしょりの先生を見ながら、小説によく描かれるヒーローみたいだと思った。さすが日本人である。日本人は真面目だと聞いていたが、確かにその通りだという印象が心に深く残った。自分の仕事に対して、強い責任感を持っている。CDがなくても授業は特に問題なく行えるが、CDがあれば授業の内容をよりよく私たちに理解させることができる。そういうお考えから、ひどい日差しにもかかわらずお宅までCDを取りに帰られたに違いなかった。誰でもひどく蒸し暑い中を動きたくはないものだ。先生は帰らなくてもいいのに、私たち学生のためにそうしてくださったのだ。暑さのためイライラしていた心も感動で静まっていった。今もその時に感じた先生の真面目さとすばらしさが忘れられない。

 他にも敬服したことがある。先生は普段、たくさん授業を担当されていて大変疲れていらっしゃるにもかかわらず、私たちの聴解力を高めるために、暇な時間を利用して聴解の練習の講座を開いてくださった。天気がよくても悪くても続けてくださったのである。また、日本語の勉強によい映画などをよく上映してくださった。

 幸せとは何だろうとふと思う。そういう時が最高の幸せだと思ったことがある。人間として生き甲斐を感じるのは、自分がやったことを通して、大切な人の心の中に何かを残すことができた時だろう。縁によって、人と人が知り合う。そして、一緒に何かをやって何かが相手の心に残る。時間が経ってから振り返る時、懐かしさと一緒に感動も思い出すのである。

 昨年、日本語能力試験一級を受けた。成績が出た時、心が割れるように痛かった。意外にも不合格だったからである。あと二点あれば合格できたのだ。ずっと一生懸命頑張ってきて、合格できると思っていたのに。恥ずかしいと感じ、また先生を失望させてしまうのは嫌だったので、先生には会いたくなかった。しかし、先生は「失敗そのものはたぶん人間にとって最も大切なものでしょう。続けて頑張ってください。応援します」とおっしゃってくださり、それを聞いて気が楽になった。それまでは、試験に失敗したことを正視できなかったのだが、そういう時に先生からいただいたこのお言葉は何よりのものだった。心細い時に応援してもらうほど嬉しいことはない。こんなに優しい先生に教えていただいている自分の幸せをつくづく神様に感謝した。

 時間が経つのは早いものである。今私は三年生だが、大学に入学してからあっという間だった。そういえば、先生は私たちと一緒にここでもう三年間過ごされている。やさしくて熱心な性格で、仲の良い中国人の友達がたくさんいらっしゃる。中国のことが好きでなければ、中国にこんなに長く住んでいらっしゃらないだろうし、私たちとこれほど楽しく過ごすこともできないだろう。

 現在中国には、大体十万人の日本人がいるが、鈴木先生のような日本人がたくさんいると思う。同様に、中国には日本が好きな中国人もたくさんいる。人と人を結ぶ深い感情は国が違っても変わることはない。人と人の間にはいつどこでも愛が必要なものだ。世界はいつでも愛が溢れていなければならない。私は、個人と個人が交流するように、中日両国も相手に対して愛と尊敬の念をもって交流し、互いを高め合うことができると信じている。これからも、中国人はこういう気持ちを持って日本人と友好的な交流をしていくべきだろう。

 今年の八月、北京ではオリンピックが行われる。中国のいたる所で多くの人が、日本人をはじめ諸外国の人たちが訪れることを心待ちにしている。私が鈴木先生と出会ったのと同じような素敵な出会いが、また新たにたくさん生まれることは間違いないだろう。

 (宋春(女亭) 浙江林学院)

 特別提供:日本僑報社・日中交流研究所
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