刈間文俊・東大教授「映画・アニメ・動画を外国語学習に」
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東京大学教授で著名な漢学者・刈間文俊(かりま・ふみとし)氏は14日、「人民網」を訪れ、中国映画や中日交流などについて自身の見解を語った。刈間氏は学生時代の語学学習の経験をもとに、「映画・アニメを観ることでお互いの国の言葉を学ぶことができる」と学習者らにアドバイスした。人民日報のウェブサイト「人民網」が伝えた。
-----中国映画を通じて中国語を学ばれたと聞いたが、映画による中国語学習法とは?
70年代には中国へ留学するチャンスがなく、中国人と接する機会がなかったので、やむを得ず。中国語の勉強を始めて3年間は一人も中国人に会ったことがなかったので、映画から学ぶしかなかった。もっとも、こうした学習法は今となっては珍しいものではないので、説明する必要はないだろう。今はインターネットでアニメやマンガ、ドラマなどが見られるので、皆さんの方が先を行っている。このような学習方法は非常に良いやり方。また映画翻訳、つまり字幕を訳すことも学習に役立つ。
私の中国語は、完全に中国映画の翻訳を通して身に付けたもの。100本ほど翻訳した。若い頃に翻訳して、ほぼ丸暗記した映画あるが、一部の台詞は今も頭に残っている。例えば『保密局的槍声』(保密局<機密保護局>の銃声)に「この業界はな、立って入って横になって出ていくんだよ(生きて入り、死んで担がれて出ていくという意味)」という台詞がある。
この台詞を初めて聞いた時は、どういう意味か分からなかったが、シーンを観て少し考えると、なるほどと分かった。このような台詞は忘れることがない。耳から入って覚えた台詞や言葉というのは頭に残り続ける。だから、映画やアニメをたくさん観るのは非常に優れた学習方法。人と人は表情で対話する。教科書を読むだけではこの知識は会得できない。ネット時代の今は、新しい情報に大量に接することができ、恵まれた環境にあるので、ネットユーザーの皆さんには映画や動画をたくさん観ることをおすすめする。外国語学習にはとても効果的。
映画を観ることは同時に、日本人の喜怒哀楽とはどのようなものか、日本人の生活の苦悩とはどのようなものかを理解することにつながる。日中両国が直面する困難というのは実はそれほど違わない。日本人は一生働いてマイホームを買うが、中国人も同じ。教育費・医療費・住宅費に頭を悩ませているのは、日本も中国も同じ。(編集HT)
「人民網日本語版」2012年8月24日
【刈間文俊へのインタビュー】