JICA中国代表、対中ODAの今後を語る 「重層的な国際協力の仲立ちに」
政府開発援助(ODA)の一環として中国を30年間にわたり支援し、両国の信頼関係の維持・発展に貢献してきた国際協力機構(JICA)。人民網日本語版はこのほど、JICA中国事務所の中川聞夫(なかがわ・きくお)所長を中日国交正常化40周年記念のインタビュー番組に招き、JICAをはじめとする対中ODAの歩みや現状、今後の見通しを聞いた。
▽中国、30年に先進国入り 「重層的関係」づくりが重点
中国は2030年、1人当たりのGDPが現在の先進国の水準に達すると見込まれている。問題は中国が2030年に先進国の仲間入りを果たすということを想定した上で、それまでの間どのような協力をしていくかという。「先進国になったとたんに関係がなくなるわけではない。これまでODAとして計上されていたものが計上されなくなるだけのこと。今後20年間ODAとして計上されるかどうかではなく、何をしていくかが重要」
対中ODAの現在の重点は「日中間に重層的な関係をしっかり構築していくこと。
重層的な関係とは。「政府・企業間交流のほか、社会と社会、人と人の交流も、日中両国を含め地域全体で進んでいく。その中でさまざまな問題に共同で立ち向かうためには、ODAだけではなく、文化的協力や研究協力なども必要になってくる。その中で、JICAが企業やNGO(非政府組織)、研究機関、自治体などさまざまな主体と連携し、中国との国際協力を円滑に進めていくネットワークの1つのポイントになれれば、と考えている」
中国の経済発展を支える目的で始まった対中ODAだが、現在は「国境を越える課題に共同で立ち向かう」という水平な関係にシフトしている。こうした中、対中ODAは今後も「重層的な国際協力」を進める仲立ちとして重要な役割を担っていく。(編集YT)
「人民網日本語版」2012年8月29日