【独占取材】莫言小説の翻訳者・吉田富夫氏(6)
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莫言氏のノーベル賞受賞は中国人作家が反省するきっかけに
人民網:ノーベル文学賞の受賞後、莫言氏の作品は日本で売れているか?
具体的な数字はわからないが、日本の大型書店では品薄状態にあると聞いている。というのも、重版が間に合ってなかったからだが、恐らく今ならもう買えるだろう。ベストセラーとまではいかないが、それでもかなり売れていると思う。一部作品は売り切れになっている。
人民網:ずっと以前から莫言氏が今回のような業績を挙げると思っていたか?
5、6年ぐらい前から莫言氏がノーベル文学賞を受賞する可能性について海外メディアが報道をし始め、この2、3年ぐらい毎年のようにノーベル文学賞発表のころに、多くのメディアが私に連絡をしてきて莫言氏が受賞した時のコメントを取る準備をしていた。私も恐らく莫言氏が受賞するのではないかと思っていた。
人民網:中国の現代文学と中国人作家たちをどう見ているか?莫言氏がノーベル文学賞を受賞したことは中国の文学界全体において、どのような意味を持つと思うか?
改革開放後、80年代中ごろから90年代中ごろまでの10年間は新世紀文学が盛り上がりを見せたが、90年代後半に入り、中国文学が商業化されるにつれ、商業活動に追われる文学者も増えていったように感じる。今回の莫言氏のノーベル文学賞受賞は恐らく中国文学者が反省する良い機会となるだろう。もしそうであるなら、個人的にもうれしく思う。
人民網:莫言氏がひたすら小説を書き続ける姿がほかの作家や文学好きの読者たちの励みになるということか?
今回の受賞は文化が国境を超えるという証明であり、そこに文学も含まれている。文学は政治的なものを超越できるはずで、本当の文化的な探求は、人間の内面にある根本的なものに触れることができる。どんな国であろうと通じ合うことはできる。今回の受賞でそれが証明された。(編集MZ)
「人民網日本語版」2012年11月27日