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性描写の多い明代の小説「金瓶梅」 日本での普及の歴史 (2)

 ■第二次大戦後「猥褻」への規制が厳格に 「金瓶梅」翻訳完全版は今も読めず

 第二次世界大戦が終ると、日本は戦争を反省すると同時に、知識層は改めて中国文化の発掘と研究を開始した。「戦中や戦前の日本は、中国の民俗に対する研究はあったものの、依然として孔子や孟子の儒教の研究があくまでも主だった。しかし、戦争後の日本の知識人は本格的に中国の近現代および現代文学の研究を紹介しはじめた。しかし、『金瓶梅』を含むこれらの中国白話小説が大量に入ってくると、多くの日本人がこれらの小説の語法や単語は、『朋有り遠方より来たる。 亦楽しからずや(論語)』のような中国の古代中国語とはあまりに掛け離れていることに気付いた。これにより、中国の有名な小説は、日本の知識人によって現地化されて、普及するという第3期の段階に入り、日本人は自ら辞書を作り、自ら翻訳を始めた」と鈴木氏は説明する。

 しかし、「金瓶梅」を翻訳する作業は相変わらず困難を伴った。「戦前にも、『金瓶梅』の翻訳本はあったが、部分翻訳であり、すべてが翻訳されたわけではなかった。そこで戦後は完全版の翻訳に着手することになった」。「金瓶梅」は性描写が多いことに加え、当時の日本の社会は「わいせつ」な言論への管理が厳格で、どのように、「金瓶梅」を翻訳するかが学者たちの悩みの種だった。

 当時、英国小説「チヤタレイ夫人の恋人」が警視庁によって「わいせつ物頒布(はんぷ)等」(刑法第175条)違反の容擬で摘発され、出版社が裁判で本の発禁処分を受けただけでなく、翻訳者までもが起訴され罰金を命じられた。これ以降、日本の出版社は「わいせつ」な内容を含む作品を翻訳・出版する際には非常に慎重になった。「これ以前、出版社は『金瓶梅』の性描写シーンだけ翻訳しないで、中国語の原文を書籍の最後に付けて出版していた。しかし、この事件以降、新たに増刷された、『金瓶梅』には、書籍の最後に付けていた中国語原文もすべて削除するようになった」と鈴木氏は語る。

 このように、日本の「金瓶梅」に対する研究は現在に至るまでずっと継続されているにも関わらず、一般の日本人は完全な「金瓶梅」の作品を見る事はできない。現在では、収益の観点から、たとえ「金瓶梅」の完全翻訳本が出版できるとしても、日本では誰も出版しないだろう。(編集MZ)

 「人民網日本語版」2013年5月22日

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