108人の在中日本人「それでも中国に住む理由」を語る(2)
在中日本人の体験記 日本政府の強硬姿勢が中日関係を悪化させるたびに、在中日本人の生活に影が落とされる。108人の筆者は本書の中で、2012年9月に日本政府が釣魚島(日本名・尖閣諸島)の「国有化」を宣言してからの、中国の生活における不快な経験をありのまま描写した。
◆タクシー乗車 私は日本鬼子ですと宣言
昨年9月の釣魚島の「国有化」問題を受け、盛況だった笈川さんの日本語特別クラス・日本語スピーチ全国ツアーが、2カ月間の活動停止を余儀なくされた。11月中旬に情勢が緩和されると、笈川さんはこのイベントを上海や広州などの都市で再開させた。
笈川さんは、「当時ほぼすべてのタクシー運転手が、自分の出身地についてたずねてきた。私が日本人、鬼子ですと答えれば、運転手はこの自嘲に対して何も言えなくなる。私が日本人ですとだけ言えば、運転手は『釣魚島は中国領か、日本領か』と問い詰めてくる。その場合私は、あなたが日本を旅行中に同じ質問をされた場合、どのように答えますかと問い返す」と振り返った。
同じような経験を持つ日本人は少数派ではなく、山本達郎さんも似たような経験について語ってくれた。「昨年この時期に中国の同僚とタクシーに乗った際に、必要ないことはなるべく口にせず、また自分が日本人であると教えることもなかった」