「山東省古代史」を自費出版した日本人金融マン (2)
「幼い頃から歴史が好きでした。小学校4年生の時、『水滸伝』の漫画を読んだことから、その中で登場した108人の将軍たちのことが深く記憶に残りました。今でもそれぞれの名前をスラスラと言えます」と語る。それ以降、兼重さんの中国史書に対する深い関心と興味は、留まることを知らず、まずは前後して「史記」や「三国志」「十八史略」などの書籍を読破し、中国の歴史への知識を深めると同時に、悠久の歴史を持つ中国への憧れを積もらせてきた。兼重さんは、「仕事のために中国山東省の青島に来ることができたことは、私にとっては信じられないほどの幸運と幸せでした」と微笑を浮かべながら語った。
歴史に対する興味や長年積み重ねてきた歴史文化の研究によって得られた知識に、さらに青島で仕事、生活する中で見聞きしたことなどを加えた兼重さんの「山東省古代史」の内容は非常に豊富で独特だ。本の表紙と中ページの色はすべてダークレッドで、情熱に溢れている。「この本は計31章からなり、内容は山東省古代史の歴史を記録している以外に、個人的な気持ちなどもつづっています」。兼重さんは、2011年2月から2013年9月までの2年半の期間、ある月刊誌に山東省古代史についての記事を連載してきた。「山東省古代史」はこの原稿を整理して一冊にまとめたものといえる。「出版費用は自分で負担し、総計300冊印刷しました。本は今のところ日本語版だけなので、日本語がわかる友人に送って読んでもらって、校正してもらいました」と兼重さんは謙虚に語る。
書籍の目次にざっと目を通すと、管仲(中国、春秋時代の斉の政治家(紀元前725?前645年)や桓公(春秋時代・斉の第16代君主)、「書聖」と呼ばれる4世紀の中国・東晋時代の書家・王羲之などの人物の分析のほか、泰山や琅◆台などの観光地に対する記述も見られる。これについて、兼重さんは、「北は広饒から南は勝州、東は田横島から西は定陶まで、山東省で訪れた場所は17箇所に上ります」と語った。
書籍の中では、青島膠南市琅◆台や即墨市田横、即墨の古代の政府機関など青島を紹介した3篇の文章がある。これについて兼重さんは、「青島の歴史は、私が非常に好んで研究しているジャンルのひとつです」と語る。青島は大海に面しており、海と共に栄えた街で、日本の環境にも近い。ここでの生活に日本人は比較的容易に適応することができる。青島に対する気持ちを聞くと、兼重さんは文学的かつ感情がこもった表現で、「青島は、私にとって第二の故郷です。ここで暮らせて非常に幸せです。青島はとてもフレンドリーな土地柄で、人の心を癒してくれます」と答えた。
最近、兼重さんを喜ばせることが二つあった。プライベートでの嬉しいニュースは、「山東省古代史」を出版できたこと、公の仕事では、働いている会社が日本外務大臣表彰を受賞したことだ。
このほか、青島市商務局の馬衛鋼局長は兼重さんが地方交流の促進に貢献したことを表彰するため、兼重さんが帰国する際に、青島の特産である貝殻を彫って作った記念碑を贈呈した。兼重さんは、「今後、青島を離れることがあっても、また機会をみつけてちょくちょく青島に戻ってきたい」として、「まさに中国人がよく口にする、『しょっちゅう実家を見に帰る』ように」と語った。(編集MZ)
◆王へんに邪
「人民網日本語版」2013年11月7日