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更新時間:17:58 Feb 23 2009

クリントン長官がアジア訪問で発したシグナル

 米国の新たな国務長官、ヒラリー・クリントン氏のアジア訪問が終わった。ホワイトハウス入りしたオバマ新大統領のアジア政策を示す訪問となった。

 オバマ政府のアジア政策には3つのポイントがある。同盟国の重視、中国への重視、総合的実力の使用の重視だ。

 米国はこれまで、同盟国を対外関係の土台とする政策を続けてきた。オバマ政府も例外ではない。クリントン長官は日本と韓国への訪問で、米国と日韓との同盟関係を強調し、東京やソウルとの戦略的信頼関係を強めるのに力を入れた。だが注意深く観察していればわかるように、クリントン長官の今回の日韓訪問は、米国と日本・韓国との同盟関係にすき間が開き始めたタイミングで行われた。日本ではブッシュ政権末期、「朝鮮の核廃棄問題を推進するために、米国は日本の関心事を無視し、日米間の亀裂を拡大した」との見方が広まっていた。米国と韓国の間でも、米国と朝鮮との接近に対して韓国政府の警戒心が高まっていた。米国は新たな朝鮮担当特使を発表し、韓国とのパートナーシップを戦略的同盟関係として発展させることを明らかにしている。クリントン長官はオバマ大統領の東アジア外交の口火を切ったものと言える。

 同盟国重視は米国外交の土台だが、同盟国との駆け引きが真価を発揮するのは、同盟パートナーが共同の現実的な関心事に直面した時だけだ。各国の依存関係が深まったグローバル化の現代、セキュリティーという概念は広がり、各国の協力範囲も拡大している。米国は今後、さらに広範な国益を重視し、非同盟の協力パートナーとの協力を深めていくことを迫られていくことになる。金融危機や省エネ・排出削減、気候変動、パンデミックなどの新たな問題に直面しつつある今、軍事同盟によって抑えられる範囲をこれらがはるかに超えていることに人々は気付きつつある。従来とは異なるこれらのセキュリティーリスクに対処するには人類が共同して立ち向かっていく必要がある。

 ブッシュ政府とその前のクリントン政府と同様、新たな国際的脅威に共同で立ち向かうことのできる新興大国との実務的な協力をオバマ政府も進めていくことになるだろう。中国との協力はとりわけ重要となる。ヒラリー国務長官は今回の訪中で、「同舟共済(同じ舟に乗った者同士が助け合って川を渡る)」という中国との関係の重要性を確認し、中国との戦略・経済対話のメカニズムのランクアップに尽力し、世界金融危機にあたっての疎通と協調を強化し、ロンドンで開かれる主要20カ国金融サミットの積極的成果に向けた共同推進をはかった。クリントン長官は、中国が米国債に対する信頼を持ち続けていることを感謝し、環境保護分野で中国と大規模な協力をしていくことに意欲を示した。

 米国は現在、世界を安定させ発展させていくためには中国は不可欠なパートナーだということを悟りつつある。クリントン長官は、米国の「スマートパワー」をアジア外交にも適用し、ブッシュ前政権の一国主義を捨てた上で、アジアの文化と経済との広い接触の中から米国のさらなる利益をくみ取ろうとしている。クリントン長官のアジア訪問にインドネシアが入っていたのは、形式的な要素が強いだろう。オバマ大統領が少年時代をすごしたインドネシアに好意を示し、このイスラム教の大国とのさらに緊密な協力を進め、インドネシアを通じて東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力を拡大するねらいもある。さらに、テロ防止を継続しながらも、イスラム世界での米国のイメージを改善したいとの意図もあるだろう。ただ米国がこれらの目的を果たすことができるかは、今後の行動に着目し、オバマ政府の外交の進め方を見ていく必要がある。

 クリントン長官は、国内外の困難に米国が陥っているタイミングで東アジアを訪れ、その丁寧な態度は歓迎を受けた。だが米国の底力はすでに以前より衰え、事柄をやり遂げるのは容易ではない。朝鮮の核問題では、クリントン長官は韓国で新たなアイデアを提出することができなかった。核放棄の替わりに平和条約を結ぶというのでは、平壌を動かすのはもはや難しい。朝鮮の衛星またはミサイルの発射を威嚇して防止したとすれば、その結果は米国に担えるものではなくなってしまう。米国が単独で解決できない難題はますます増えており、国際協力を求めることは米国にとっても避けようのないやり方となっている。(「人民日報海外版」コラム「望海楼」、編集MA)

 作者:沈丁立(復旦大学米国研究センター主任、国際問題研究院常務副院長)

 「人民網日本語版」2009年2月23日

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