2009年6月23日    メールマガジン登録I-mode登録中国語版日本版
人民網日本株式会社事業案内  更新時間:14:13 Jun 23 2009

二正面戦略の「終結」

 米国のゲーツ国防長官は18日、「米軍は将来の地域衝突における脅威に対処するための適応性を強化する必要があり、2つの戦争に同時に勝利するという理念はもう採用しない」と述べた。(文:樊吉社・中国社会科学院米国研究所副研究員)

 2つの戦争に同時に勝利するという米軍の「二正面戦略」は、冷戦終結時に遡る。米ソ大戦の可能性がなくなったため、米軍は同時に勃発し得る2つの地域戦争への対処に軸足を転じ、米軍の規模、軍事費、武器の調達もこれによって決定されてきた。

 前任のラムズフェルド長官は国防モデルの転換に尽力し、軍事戦略を「脅威を基盤としたモデル」から「能力を基盤としたモデル」へと調整し、二正面戦略を放棄することを主張した。だがラムズフェルド長官が技術優先を過度に強調し、軍事費を大幅に増加したことに加え、将来米軍が直面する軍事的脅威が何であるかが定まらないことから、米国が二正面戦略から真に脱することはなかった。ゲーツ長官は今後の「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」報告で、二正面戦略を放棄すべきだと重ねて発言している。これは、ラムズフェルド前長官の国防モデル転換思想を引継ぎ、また修正したものである。

 二正面戦略放棄の主旨は、米国が重視すべき軍事的脅威が何であるかを改めて確定することにある。ペンタゴンでは近年、将来の軍事的脅威が何であるのかについての議論が休まず交わされてきた。一方は、冷戦思想を固守し、いずれかの大国の正規軍による米国への軍事的挑戦への対処に着眼することを主張し、米軍のパワーの配置、軍事費の規模、武器の調達もこれによって決定すべきという声。もう一方は、冷戦終結後、米国はソマリア戦争、イラク戦争、アフガン戦争、および広義の対テロ戦争を経験しており、現在のパワーの配置と武器・装備では現実の必要性に適応できず、予測可能な将来に米軍が直面するものは大国による軍事的挑戦ではなく、こうした非正規の戦争形態であると考える声だ。

 当面は、前者の声が主流で、対テロ戦争を進めると同時に、将来的な大国からの脅威にも目を向け、技術的に最も進んだ武器システムの開発と調達を推進すると同時に、現有の軍事力の規模も維持すべきであると考えられている。ゲーツ長官は就任後、非正規軍による脅威が将来の軍事戦略において解決の必要な問題であると認め、変革の必要性を訴えている。

 将来の軍事的脅威の確定は、米国の軍事力の配置と武器システムの調達に直接影響を及ぼす。金融危機も、納税者からの資金の節度のない浪費を止め、最先端技術ではないが比較的実用的な武器の調達に軍事費を用いるよう米軍を促すだろう。だが、ゲーツ長官が直面する試練は、軍事調整の過程で各軍共に影響を被るものであり、議会での彼らの代弁者や軍需産業が、おとなしく従うとは限らない。ゲーツ長官が米軍に二正面戦略を本当に放棄させることができるか否かを見極めるには、なお時間が必要だ。(編集NA)

 「人民網日本語版」2009年6月23日

関連記事
  評 論
  中国メディアが見る日本 
  おすすめ特集

地方情報

北京|天津|上海|重慶|吉林|遼寧|河北|山西|山東|河南|江蘇|浙江|安徽|福建|江西|湖北|湖南|広東|広西|海南|四川|貴州|雲南|西蔵|青海|陝西|甘粛|寧夏|新疆|香港|澳門|台湾|黒竜江|内蒙古