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米国の軍事費削減:痛手を負わない「スリム化」

 米国は少し前に今後5年間で軍事費を780億ドル削減し、2015年度以降に兵士も約4万7000人削減する方針を発表した。これによって、米同時多発テロ以降繰り返されてきた軍事費の増額傾向が改められる。

 兵士削減の内訳は陸軍が2万7000人、海兵隊が2万人。このほか、144億ドルを計上していた海兵隊の新型揚陸艦を含む兵器開発計画の中止も発表された。これによって浮いた予算は新型遠距離爆撃機など「より重要な」部門に投じられる。軍の健康保険システムも支出緊縮の影響を受ける。

 米国の軍事費は長年世界最大であり続けている。特に同時多発テロ以降は増額が繰り返された。米国の軍事費は世界全体の軍事費の40%を占める。「国土の安全」の確保を理由に、毎年の軍事費増加は「ノーと言えない」事にすらなっていた。このため今回の軍事費削減計画について米メディアは「連邦予算の5分の1に相当する軍事費が、もはや批判の対象外ではなくなった」と論評した。

 米国は軍事費削減を急がざるを得ない。第1に、経済回復の力に欠く現在、巨額の軍事費はもはや財政緊縮における「聖域」ではなくなっている。米軍担当者は今回の削減措置が、極めて大きな財政圧力によるものだと率直に認めている。実際この措置はホワイトハウスとペンタゴンの駆け引きによる妥協の産物だ。これに先立ちオバマ大統領の任命した両党財政赤字委員会のトップは、2015年までに1000億ドルの削減を提言していた。これはペンタゴンの受け入れた削減額を大きく上回る。

 第2に、米政府が軍事費に切り込んだのは、新たな議会勢力図に対応するためでもある。昨年の中間選挙では、増加の一途をたどる支出が共和党によるオバマ政権批判の重要な根拠となった。これに巨額の債務、財政赤字の悪化も加わり、軍事費削減がオバマ政権の政治策略となった。

 第3に、米政府の今回の措置には、これを機に時弊を正そうとの考えもある。米国社会には軍当局、軍需企業、一部連邦議員からなる「軍産複合体」という怪現象の長い歴史があり、その背後には多くの利益集団の影がある。今回の軍事費削減については軍側担当者も「全ての兵器開発計画が必要なわけではなく、全ての予算が合理的に使用されているわけでもない。軍はもう投資建設面で昔の道を歩むことはできないし、官僚的習慣やコストを度外視したいい加減な態度を続けることもできない」と認めている。

 巨額の軍事費の背後に多数の利益集団が絡み合っているため、削減の動きは政界の反発を免れない。共和党勢力の躍進した議会において、軍事費を削減対象とすることに反対する共和党議員が少なからずいるのは皮肉なことだ。軍側担当者も兵士、海外基地、兵器計画の一層の削減は「少なくともリスクや潜在的な災難を抱える事になる」と警告する。

 せざるを得ないが、大きな痛手も負わない。これが今回の軍事費「スリム化」の要諦だ。(編集NA)

 「人民網日本語版」2011年1月31日

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