現在菅首相は政界のほぼ全てを敵に回している。自民党など野党は言うまでもなく、与党民主党の岡田克也幹事長、枝野幸男内閣官房長官、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎元代表、そして閣僚の大部分も支持率の落ち込んだ菅首相ができるだけ早く辞任し、次期首相に事態の収拾を任せることを望んでいる。菅首相の盟友は北沢俊美防衛相、国民新党の亀井静香党首など数えるほどしかいない。それでもなお菅氏は首相の座に「腰を据え」ており、意外なことに反菅勢力は手を出せずにいる。(文:霍建崗<中国現代国際関係研究院日本研究所>。週刊誌「瞭望」掲載 )
首相を退陣させるには(1)内閣不信任案を衆議院で可決し、総辞職または衆院解散(2)党内手続きを踏んで党代表の職を解く(3)自発的辞任??の3つの道がある。だが不信任案は6月2日に否決されており、形式上「信任」を得た菅首相に退陣の必要はない。また、民主党には党代表を「弾劾」する、または党代表選の実施を連署で求めるような規定がない。このため岡田氏や枝野氏は菅首相が自発的に後任にポストを譲ることに望みを託すほかない。
菅首相は当然退陣を望んでいない。庶民家庭の出身で、一歩一歩奮闘を重ねて政治家のトップに上り詰めた菅直人首相には、安倍晋三、福田康夫両元首相ら世襲政治家にはない粘り強さがある。このため、たとえ逆風の中でも簡単にあきらめはしない。
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