2012年6月15日    メールマガジン登録I-mode登録中国語版日本版
人民網日本株式会社事業案内  更新時間:12:42 Jun 15 2012

李克強副総理の訪問からみる中国のバランス外交

 4月26日から5月4日にかけて、李克強・国務院副総理がロシア、ハンガリー、ベルギーの3カ国を訪問する。ベルギーではEU本部にも訪れる予定だ。ユーラシア大陸を横切り、旧東側から旧西側の国へと周る今回の訪問はたいへん意味深長なことだと言える。

 訪問先となる国の中には、冷戦時代、東側陣営(共産圏)に組み込まれていた地域に位置するロシア、欧米文化の中心であるEU加盟国、東西の文化が交わるハンガリーがある。中国要人によるこの度の訪問は、国際秩序が多極化へと移行している今、中国の外交政策が「東側」のみならず、「西側」にも注力してきたことを世界に示しているようにも見える。

 いわゆる「東側」「西側」とは、米ソ冷戦時代の概念に基づくものである。従来、ユーラシア大陸は文化的な違いにより東と西に区分されていたが、それにイデオロギー的な要素が加わり、世界を第1世界(西側諸国)、第2世界(東側諸国)に分けたものがこれに当たる。この10年、中国やロシアなどの新興国の台頭、日米欧などの先進諸国の景気後退など、世界情勢は大きく変わってきている。こうした背景において、中国とロシアが如何に関係を強化していくかが、多極化していく世界秩序の中で重要な要素となっている。

 中国の外交は、イデオロギーにより左右された時代はとっくに終わっており、今は戦略性を備えたバランス外交が主体となっている。イデオロギー的な束縛から解き放たれた現在の中国の外交は、他派を容認し、友好国を増やそうとするものである。こうした戦略的思考は、昔の中国と比べると、自由で自立した外交を推進させることにつながっている。世界経済のリーター的存在である欧米諸国との関係強化につとめると同時に、発展途上国やアジア諸国との友好関係も保っている。

 米ソ冷戦時代が終わり、「東西対立」が下火になると、今度は先進国と発展途上国の対立という南北問題の存在が世界的に重視されるようになった。中でも、イスラム原理主義派と欧米諸国の対立の激しさは著しい。だが、欧米諸国の景気後退、国際的な構造的不平等の拡大、「欧米社会vs非欧米社会」や「先進国vs新興国」の「新・東西対立」に憂える世界は、中国にとって、重大な役どころを演じられる舞台となるはずである。

 中国は複数の顔を持つ国である。地理的にアジア文化の特質を持ち、発展途上国の代表国でありながら、経済面では欧米諸国と強い関係を築いている。中国政府要人によるこの度の訪問には、ロシアを代表する新興国とEU加盟国を代表とする欧米諸国への敬意が示されている。これは、複数の顔を持つ中国だからこそ出来ることであり、また、中国政府の戦略的思考の大きさを表している。

 現在、中国と欧米の主要諸国の経済面での連携は充分な成果を上げている。次になすべきは、双方による戦略対話の場を多く持ち、猜疑や疑惑を失くしていくことである。中国は今、日米欧以外の国、特にロシアなどの新興国との「南南経済協力(発展途上国間の相互協力)」を推し進めている。経済面だけでなく、国際金融システム改革、気候変動などといった世界的な課題にも共に取り組んでいく予定だ。双方面との関係強化を築く、こうしたバランス外交は、これまで長い間欠落していた中国外交の手段として、今後注力されることになるだろう。(文=中国人民大学国際関係学院 金燦栄副院長)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月23日

印刷版|コピー|お気に入りに登録
  • 分かち合うへrenren.com
  • 分かち合うへt.qq.com
関連記事
みんなの感想

名前

コメントを書く コメント数:0

   

最新コメント
  週間アクセスランキング
  評 論      プレスリリース
  中国メディアが見る日本 
  おすすめ特集

地方情報

北京|天津|上海|重慶|吉林|遼寧|河北|山西|山東|河南|江蘇|浙江|安徽|福建|江西|湖北|湖南|広東|広西|海南|四川|貴州|雲南|西蔵|青海|陝西|甘粛|寧夏|新疆|香港|澳門|台湾|黒竜江|内蒙古