日本、メコン川流域5カ国に6千億円 影響力拡大狙う
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日本と東南アジアのメコン川流域5カ国による首脳会議が21日、東京都内の迎賓館で開かれた。地域のインフラ整備拡充に向け、日本は2013年度から3年間で約6千億円の政府開発援助(ODA)を表明。ミャンマーに対しては、37億ドルの債務免除のほか、25年ぶりに円借款を再開することを決定した。中国共産党の機関紙、人民日報が伝えた。
今回の会議で採択された共同文書「東京戦略2012」では、日本とメコン川流域5カ国の新行動計画における具体的協力策が示され、▽道路網整備などによる地域各国の連結性強化▽地域各国の格差縮小による均衡的発展▽公共衛生・環境保護の重視による持続可能な発展---などが重点として盛り込まれた。
アナリストは、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の勢いを借りて海外市場を開拓し、域内やアジアにおける影響力を強める狙いが日本にはあると指摘する。
中日両国間の経済的競争は双方に利益をもたらすが、日本とメコン川流域5カ国の協力には政治的な思惑がある。
2008年までは、日本がASEAN最大の貿易相手国で、中国は3番目だった。しかし2011年には、中国が日本を抜いてASEAN最大の貿易相手国になった。
日本がASEANへの投資を拡大する背景には、中国をけん制する狙いがあるとの見方もある。共同通信は「新行動計画は、民主改革が進むミャンマーへのODA再開などをてこに、日本が主導してメコン地域のインフラ整備などに取り組む。この地域と国境を接する中国の影響力拡大を抑える狙いもある」と報じた。
英BBC放送は21日、日本と中国は近年、いずれもASEAN地域に対する影響力の拡大に力を入れていると指摘。世界第2の経済大国の地位をめぐる中日間の争いにはひとまず決着が付いたが、共に中国と領有権を争う日本とASEANの一部加盟国はこの点に共鳴して距離を縮めている。ミャンマー政権の民主化改革を背景に、日本とメコン川流域5カ国の協力に横たわっていた体制的障害も減少し、経済面だけでなく、政治面でも協力の見通しが開けてきたという。
シンガポール国立大学東アジア研究所の藍平児・上級研究員は記者の取材に対し、「インドシナ半島の経済開発を共同で進める『メコン川流域 開発計画(GMS)』をめぐる中日両国の思惑はそれぞれだ。しかし東南アジアの隣国と政治面・経済面でより良い関係のあり方を求める姿勢は同じで、これは地域経済の統合を促進する後押しとなる」と指摘。「日本と中国がASEAN各国に提供している援助は、地域各国だけでなく、中日両国にも利益をもたらす。ASEAN地域の経済統合が加速すれば、全てのステークホルダー(利害関係者)がその恩恵に預ることができる」との見方を示した。
アナリストは日本の対外援助について、「『政治大国』戦略を支えるもので、ODAとは一線を画す。明確な狙いや意図を含み、ときにはイデオロギーが頭をもたげる」と指摘。「日本は、経済面ではアジアでの主導権獲得に力を入れる。一方、政治面ではイデオロギー的立場を強調し、アジアを取り巻く問題の主導権争いでは日米同盟の影響も同時に受ける」 (編集YT)
「人民網日本語版」2012年4月24日