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松江市、世論を前に『はだしのゲン』の閲覧制限を撤回

漫画『はだしのゲン』

 日本の人気漫画『はだしのゲン』は1973年の初版以来1000万部を突破し、すでに20カ国語余りに翻訳されている。島根県松江市教育委員会事務局は昨年12月、「描写が過激」だとして、市立小中学校に子どもたちの閲覧を制限するよう要請し、民衆の強い反対を招いた。松江市教育委員会は8月26日に臨時会議を招集し、規制の撤回を決定した。

 読売新聞の報道によると、松江市教育委員会は28日に校長会を開き、手続きに不備があったとして、閲覧制限の決定を撤回した経緯について説明し、謝罪した。出席した校長からは教育委員会のこれまでの対応に批判の声が少なからず上がった。
 
 『はだしのゲン』は日本の漫画家・中沢啓治さんが1945年8月6日に広島で被爆した自らの体験を基に、父親と兄弟姉妹を失った小さな男の子が懸命に生きる姿を描いた作品。裕仁天皇への批判や、中国などアジア諸国での日本軍の残虐行為の描写もある。

 日本の主流メディアは閲覧制限の決定を次々に批判。毎日新聞は8月20付社説で、原爆や戦争の残酷さを知る機会を子どもたちから奪うことになると指摘。「被爆者の高齢化に伴い、戦争や被爆者の痛ましい体験を語り継ぐことが日本にとってますます重要になっており、絶対に禁止すべきでない」とした。朝日新聞も20日付け社説で閲覧制限を批判。民主党の海江田万里代表は25日「世界各国で広く読まれているものを子どもたちに読ませないのは、歴史に目をつぶることだ」と指摘した。

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