中国・インターネット流行事情--偽娘:「私は男の子です」

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 約4億人に上る中国のネットユーザーは今、大きな世論を作り上げています。ネット世論は今、中国社会における重要な世論監督手段の1つとなりました。ネット上ではまた、ネット有名人や流行語が次々と誕生し、中国人の言葉や行動に影響を及ぼしています。「中国インターネット流行事情」では、中国のインターネット上で今流行している事柄や人物について、ご紹介していきたいと思います!

 

 ここ数年、中国国内では中性的な格好をした女性がテレビのオーディション番組に参加し、視聴者やネットユーザーの賛否両論の声の中、有名人になっていくケースがいくつかあった。
 そして今年、湖南衛星テレビの男性歌手オーディション番組「快楽男声」では、「偽娘」と呼ばれる女装した男性の参加者が注目を集めている。数ある「偽娘」たちの中でも、最も注目を集めているのが19歳の大学生の劉著さんだ。
 劉さんは幾度目かの審査で敗北し、すでにオーディションの舞台を降りたが、ネット上では女装に関する話題がますますヒートアップしている。ほとんどのネットユーザーは男性の女性化を受け入れられるとしており、受け入れられないと答えたのは小数だった。
 このことからも、中国社会がますます開放的になり、多元化しつつあることがわかる。しかし一方で、多くのネットユーザーがこの現象に憂慮を示している。現在、中国社会は大きな変化の中にあり、伝統的な価値観や審美観も変化しつつある。人々は、これらの変化にまったく予測がつかないことを心配しているのだ ろう。

● 劉著さんについて

● アジアで流行する「偽娘」

● 観点--理解VS心配

 

劉著さんについての動画

 偽娘:女装し、まるで女性のように美しい男性のことを指す言葉で、この概念はもともと日本のアニメ・漫画から来ている。「偽娘」という言葉は中国のアニメ・漫画ファンによる造語と考えられているが、確かな証拠はない。ネット上では、女装した男性や、女性化している男性のことを指す。


 著姐:「姐」とはもともと、同世代で自分よりすこし年上の女性に対する呼称。「著姐」とは、劉著さんに対する、ユーモアをこめた呼称。


 「快楽男声」:中国の湖南衛星テレビで07年からスタートした歌手オーディション番組。参加者は全て成人男性で、中国各地からの応募者が参加する。トーナメント制で、審査員と視聴者の人気を集めた人だけが次の審査に残ることができる。2010年の快楽男声は3月31日からスタートした。

 劉著、19歳、四川省南充市出身。四川音楽学院作曲学科の学生。2010年に快楽男声に参加。オーディション参加時には、長髪に化粧、青いタイツにハイヒールという格好と女性らしい声、そしてその音楽的才能で一気に注目を集めた。

 劉著さんは5月22日に放送された成都地区25強争奪戦で敗北したが、すでに有名人になっていた彼は、さまざまな娯楽番組に出演するようになり、ネットテレビなどのメディアのインタビューにも答えた。ネット上でも劉著さんに関する話題が盛り上がりつつあり、米CNNも彼について報道したという。

 オーディションでは、審査員から性別に関する疑問を投げかけられたが、劉さんは平然とした様子で自信ありげに「私は男性です。小さいころから女装が好きでした。普段からこのような格好をしています。私は何も変えたくない。この舞台で自分を表現したいだけです!」と語った。

 劉さんと会ったことのある人はみな、彼の雰囲気、動作、目つき、声がどれもまるで女性そのものだと感じている。劉さんの女装の歴史は3歳ごろまでさかのぼる。彼がスカートをはき始めた当時、両親はスカートをはくのをやめさせたが、特に気にしなかったという。

 その後、中学生になるまでは、周りの同級生は彼を男子学生として見ていたが、ある日、中学の先生が劉さんに、周りの男の子と同じように髪を短く切るよう命令した時、彼は大泣きして抗議した。これが劉さんの初めての反抗だった。このとき、劉さんの両親は息子がほかの男の子と少し違うのではないかと気づき始めたという。

 父親は彼をつれて心理カウンセリングに行ったが、結果はまったく異常なしだった。「これは私に対する一種の肯定でした。これでもっと自信がついたんです」と劉さんは振り返る。家族も劉さんの選択を黙認した。「もしあなたが親ならば、あなたも子供が楽しいことが一番重要だと考えるでしょう」

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 中国のネット上では「偽娘育成マニュアル」「偽娘白書」など、「偽娘」になる方法を教える資料などが出回っている。「偽娘」たちは家で女装を練習するだけでなく、オンライン・オフラインで頻繁に集まり、互いに女装について語り合い、その「偽娘」観を比較しあっているという。

 現在、オンラインショップでは、かつらやコスプレ用衣装のほか、キャラクターグッズや財布、ブラジャーなど、「偽娘」向けの商品が人気を集めている。

 中国で争論の的となっている偽娘現象だが、その起源は大男子主義(男性優位主義)の横行する日本にあるという。日本のアニメ界では、女装した男性がテーマの作品がすでに800作品に達する。

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 ネットユーザー:彼はラッキーだと思う。社会には、彼のような人はまだ大勢いるが、家族や周囲の人からの理解を得られず、ひっそりと隠れているしかない人も多い。勇敢に自分に向き合い、家族からも理解されている彼は、同じ立場にある多くの人からうらやましがられているだろう。

 ネットユーザー:劉著さんを支持する人はみな「劉著さんから最も学ぶべき点は、その粘り強さだ」と思っている。

 ネットユーザー:日本では、女装は一種のファッションと思われている。東京ではスカートをはいた男性も珍しくない。でも中国ではまだ始まったばかりで、ごく少数の「偽娘」だけが社会にカミングアウトしている。皆心の中では、家庭や社会から軽蔑されないように、閉鎖的な空間で生活しているほうがいいと思っているのだ。

 ネットユーザー:健全で前向きな人生観があり、言動や生き方が積極的で、思いやりがあるならば、たとえ女性化した男性でも、批判する要素は何もない。格好や服装についての美的感覚や嗜好は個人の自由であり、社会や文化の多元化の表れだ。

 ネットユーザー:「偽娘」は何といっても少数派で、社会から大きなプレッシャーを受けている。ほとんどの男の子は女装をしないので、親は心配しすぎる必要はない。学者たちも彼らを押さえ込む必要はない。

 ネットユーザー:これは正常なことだ。過去にも舞台で女装をする男性がいたじゃないか。有名な京劇役者の梅蘭芳も女性の役を演じて有名になった。

 ネットユーザー:これは一種の病気なのかもしれない。彼らに同情する。

 中国社会科学院 李銀河・研究員:多元化した社会は、「女性化した男性」を受け入れることができるかもしれない。劉著さんの事件により、社会では「偽娘」に対する受け入れが加速するだろう。

 上海師範大学心理学部 袁軍教授:オーディション番組で中性的な男の子が勝ったとしても、それは、全ての子供に「中性的」な服装や態度を好むよう誘導することにはつながらない。中性的な人物が偶然人気になったからといってパニックになる必要はない。男の子は救いが必要なほどの事態には陥っていない。

 ネットユーザー:「偽娘」たちは有名になるためにプライベートを公開しても構わないが、メディアは視聴率やアクセス数のために責任感や道徳の最低ラインを放棄してはいけない。

 ネットユーザー:劉著さんは深刻な性同一性障害にかかっている。精神的な病の一種だ。

 ネットユーザー:もともとは個人的な精神疾患だったものが、現在オーディション番組で流行化している。これは不健康な社会的心理だ。

 ネットユーザー:男たちが集まってかわいらしい格好をしたところで、一体誰の美的センスを満足させることができるのか?

 快楽男声の審査員:今年の快楽男声には多くの「偽娘」が登場した。これは80年代生まれ、90年代生まれの心理的な問題を表すもので、社会全体が注目するべきだ。

 ネットユーザー:もし「偽娘」になることが、心からの真実の願いであり、いかなる名声もいらないならば、社会からも受け入れられ、尊重を得ることができるだろう。

 ネットユーザー:メディアは金のために、青少年の正しい理想、信念、道徳を犠牲にした。

 中国青少年研究会 孫雲暁・副会長:「偽娘」ブームは男性が衰退している表れであり、未成年にとってマイナスの影響がある。「偽娘」はまた、中性化の表れでもある。私たちは「両性化」を提唱するべきだ。両性化とは、男女が互いに学びあうこと。つまり、男性は女性の優しさや細やかさを学び、女性も男性の勇敢さや闊達さを学ぶということだ。

 首都師範大学心理学科 李文道講師:オーディション番組は大人にとっては影響はないが、人生観や価値観が未成熟の子供は、外見を直接模倣しやすく、美的感覚・価値観を混乱させ、深刻な心理的障害をもたらしやすい。

 専門家:ここ十年あまりにわたり、男の子たちは現代教育と両親の溺愛を受け、ますます女性化している。現在の教育方法の結果は30年後に現れる。男の子を女の子として育てれば、男性を一世代分失うことになるだろう。
 

 

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