中国古典「紅楼夢」の研究者・周汝昌さん死去
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清朝中期(18世紀中頃)に書かれた中国長篇白話小説「紅楼夢」(こうろうむ)を専門に研究(紅学と呼ばれる)していたことで有名な周汝昌さん(95)が5月31日午前1時59分、亡くなった。周さんは、中華民国の時代に紅楼夢の作者が曹雪芹(そうせっきん)であることを証明する「紅楼夢考証」を著し、紅学の分野で実績を残した学者・胡適(1891-1962)などの後を継ぎ、1921年に中華人民共和国が設立されて以降、同研究に携わってきた第一人者。考証派(紅楼夢は曹雪芹の自叙伝であるとする自伝説)として多くの実績を残してきたことが、中国だけでなく海外でも知られている。中国紙「広州日報」が報じた。
周さんの代表作には1953年に出版した「紅楼夢新証」があり、「紅楼夢」の実証・研究をシステム化・専門化した同作は「紅学史上でも歴史的な著作」と称された。そのほか、「紅楼夢」の作者である曹雪芹の生涯を記した「曹雪芹小伝」や「紅楼夢と中華文化」、「献芹集」、「石頭記(紅楼夢の別名)会真」など、紅学分野の各方面に関する多数の著作がある。
原稿の本文や回目が第80回までしか残っていない紅楼夢に関して、曹雪芹が生前書き残したのは第80回目までだけと考えている人も多いのに対し、周さんらは、曹雪芹はエピローグ(第120回とされる)まで書き終わったものの、稿本が流出後80回以降が何らかの原因で散逸したと考えている。それで、周さんは、曹雪芹と非常に親しい人物であるとされる脂硯斎(しけんさい)が残した批語(81回目以降の内容を暗示するもの)を手掛かりに、第80回目以降の内容の研究成果を詳しく述べ、完成版とする「紅楼夢」を発表した。
生涯にわたり、自分の名利などにこだわることはなかった周さんの娘周倫さんによると、周さんの生前の願い通り、追悼式を開催したり、遺体を祭る祭壇を設けたりはぜず、「静かに見送りたい」という。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年6月1日