北京に「一流の下水道」がない理由 人民日報 (2)
国家戦略計画にも落ち度があった。国家戦略によると、地下区間は、都市のスピード発展を目指す際に常につきまとう地下空間は、「市政、排水、環境保護、電力、通信」など各部門がケースバイケースで管轄すると定められている。地下を取り扱う統一調整機関というものは存在せず、それゆえ統一的な計画・建設も行われていない。従って、今年はあるパイプを地下に埋め、来年になればそこを再び掘り返し、線路を敷設する、というような事態が生じる。排水管網の改築は、国家レベルでの戦略計画に組み入れられるべきであり、長期的なスタンスで全局面を俯瞰することが必要だ。
このほか、都市の冠水予防・対策面での措置も、拠り所となるものが長く存在せず、責任の所在はうやむやになったままだ。専門家は、「国家は『都市洪水防止法』を早急に制定すべきだ。都市における冠水の予防、計画、政府責任を明確にした全方位型の法律の立法化を進め必要がある」と提案している。
先見の明が不足し、計画・設計に欠陥があり、技術人材に乏しく、発展コンセプトが立ち遅れ、国家戦略に落ち度があり、資金投入が惜しまれている。あまりにも多くの「負債」が積み重なった状態。この負債をなくすことはシステム工学であり、決して一朝一夕にして完成するものではない。
北京が排水管網の改造に力を尽くしてきた事実は否定できない。「北京市『十二五(第12次五カ年計画:2011-2015年)』期間における水資源保護・利用計画」が今年2月に発表された。同計画では、2015年までに、89カ所の地下貯水池を建設し、凹型立体交差橋の排水問題の解決を図ることが明言されている。2015年は、わずか3年後のことだ。この時、我々は下水道問題をめぐる議論をふたたび繰り返すことになるのだろうか?
時間だけがその答えを知っている。(筆者 正楷/編集KM)
【特集】北京で観測史上最大の豪雨
「人民網日本語版」2012年7月24日