「西蔵(チベット)族の今の生活の様子や受けている教育の水準を知りたい」。中国甘粛省に6回訪問したことがあるものの、西蔵族の暮らす場所には足を伸ばしたことがないオーストラリアの華字紙「澳洲日報」の黄豊裕社長は、募る思いを同行しているスタッフにぶつけた。その後、黄社長と共に同省を訪問した、オーストラリアや米国、ニュージーランドなど海外の中国系メディア関係者約20人は同省武威市の天祝西蔵族自治県に到着。西蔵族の生活の密着取材が始まった。中国国営の通信社「中国新聞社」のウェブサイトが報じた。
中国系メディア関係者は、シルクロードの一部で北を長城、南を祁連山などの山脈に挟まれた地帯「河西走廊」に入り、長くあこがれた西蔵族自治区に到着。華藏寺鎮紅大村に住む西蔵族王世虎さん(67)の家を訪問した。
貧困農家をインフラがある程度整う場所に移転させる扶助政策の試験ポイントとである同地では2007年、同プロジェクトの建設がスタート。10年、移転第一陣として王さんらは同地に移り住んだ。
草木に囲まれたこれまでの家に変わって、きれいに整った中国伝統の家屋建築四合院が王さんたちの家になり、中にはビールや収穫された米や麦、キキョウが置かれている。寝室や応接間、台所など4つの部屋には真新しいテレビやDVD、ソファー等が設置されている。以前使っていた石炭を燃やす暖炉も「時代遅れ」に。冬になると電気ストーブで暖を取っている。
西蔵族の民族衣装を身にまとった王さんは、流暢な中国語で、「6人家族」と紹介。「山に住んでいる時、最も困ったのが水。遠くまで歩いていき、汲んだ水を家畜に背負わせて戻る。それを何日にも分けて使う。でも今は家に水道があり、とても便利。特に高齢者と子供にとってはとてもありがたい」と語る。
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