北京、修士卒でも月給3万円 地下の6畳間暮らし
中国伝媒(メディア)大学科学研究機構はこのほど、中国の大学院生の就職状況は困難とするデータを発表。文科の卒業生46.3%が、専攻と一致する仕事が見付からず、学んだことが活かせていないとした。また、「全国高校(大学に相当)卒業就職状況」のデータによると、大学院生の就職率が2009年より3年連続で学部生(4年制大学)を下回った。さらに、大学院受験熱も高まるばかりで、2012年、全国修士課程の入学試験を受けた学生の総数は、前年比9.6%増の169万6千人に達した。北京の夕刊紙「北京晩報」が報じた。
高学歴を誇るにもかかわらず、苦しい生活を余儀なくされている若者の姿は、北京という街で生活することの厳しさを象徴している。
■北京で暮らす地方出身者、修士卒でも厳しい生活
温和でおとなしい性格の徐波さん(27歳男性)は、2010年にバイオエンジニアリングの修士課程を修了した。見知らぬ来訪者である記者にも応対が丁寧で、教養が見て取れた。ただ、修士という学歴の話になると、ばつが悪そうな顔で、「ただ家を借りるために大家に気に入られたくて、『学歴は言うに及ばない。ここでは、誰も重視しない』と言った」とトーンを下げた。
山東省済南市付近の農村出身の徐さんが北京に来て借りたのは10平米(約6畳)の部屋で、シングルベッドと折り畳み式洋服タンス、それに机を置くといっぱいだ。家賃は「インターネットや光熱費込みで1カ月800元(約1万円)」。「1カ月分の家賃を毎月払うだけでよく、数か月分を事前に払う必要はない。市の中心から数キロの場所でこの条件だったらいいほう」という。地下にこのような部屋が数十部屋並び、共同の洗面所とトイレが2カ所ある。ドアを開けるたびに、トイレのいやなにおいが鼻を突く。