中国の「海賊版ソフト王」が米で懲役12年 被害額95億円
海外メディアの報道によると、米国裁判所は現地時間11日、「海賊版ソフト王」と呼ばれる中国人の李翔(音訳)被告(36)に対して、懲役12年の実刑判決を言い渡した。被害額は1億ドル(約95億円)に達した。服役終了後、李被告は中国に送還される。2011年6月、米国土安全保障省(DHS)は、李容疑者にソフトウェア購入にあたり、ビジネスについて話し合いたいと申し入れ、李をサイパンにおびき出し、逮捕していた。新京報が報じた。
米、李被告におとり捜査
四川省成都市出身の李被告は、08年4月から11年6月の間に、サイトやメールを通じて、61の国や地域の顧客300人以上に、500以上の海賊版ソフトウェアを販売。被害額は1億ドルに達していた。顧客の中には、米航空宇宙局(NASA)の元スタッフや科学関係者まで含まれていたという。
2010年初め、DHSは代理人を雇い、李被告からAnalytical Graphics社が開発した衛星軌道運行シミュレーション用ソフトウェア「Satellite Tool Kit」を含む、海賊版のソフトウェア5点を購入したいと持ちかけた。正規版なら合計15万ドル(約140万円)はする同商品を、李被告は数千ドルで販売するという。
その後、同代理人は李被告にビジネスについて話し合いたいと持ちかけ、サイパンに呼び出すことに成功。同年6月、サイパンのホテルで、米国のソフト会社から違法に取得した20ギガサイズの海賊版ファイルを所持しているとして、現行犯逮捕に至った。李被告は今年1月から、デラウェア州の裁判所で裁判を受け、容疑を認めていた。
200社が被害に
訴訟書類によると、李被告が作成した海賊版ソフトウェアは、20-1200ドルで販売され、正規版の価格の5%以下だった。盗用されたのは、「オラクル」、「SAP」、「ロックウェル・オートメーション」、「アジレント・テクノロジー」、「シーメンス」など、200社近い企業のソフトウェア。
メディアの報道によると、業界関係者は、「中国では、海賊版の企業アプリケーション使用はそれほど深刻な状況ではないものの、ライセンスを20人分購入し、50人が使うなど、規定を超えたライセンスの利用はよく見られる」と指摘している。また、世界最大の米コンピューター・ソフトウェア会社・マイクロソフトのオペレーティングシステム(OS)や企業アプリケーションなどはいずれも、抜け道があり、技術的に盗用することも可能だという。
現在、マイクロソフトなどは、中国における海賊版の根絶に力を入れており、短期的目標として主に、海賊版のOSがインストールされているパソコンを販売している業者にその矛先を向けている。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年6月13日