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専門家:魔法の調味料「一滴香」、使用基準を守れば無害

 火鍋を食べ終わったあと、自分の着ている服に「香り」が移ったと感じる人は多い。ネット上で広まっている噂や一部メディア報道によると、衣類に残る香りが強ければ強いほど、鍋に投入された調味料「一滴香」に含まれる添加物が多いことを意味しているという。しかし、多くの食品安全関係専門家は24日、「『一滴香』に含まれる香りづけのための添加物の成分と、食材を調理した時に自然に発生する香り物質とは非常に似通っており、味や香りの濃さだけから火鍋に人体に悪影響を及ぼす添加物がどれだけ含まれているかを論ずるのは、あまりにも独善的といえる。『一滴香』は、決して発ガン性を持つ化工製品ではなく、料理に『一味』を加える香料だ」と口を揃えた。新京報が伝えた。

○「味・香りの濃さ」だけで添加物について判断するのはあまりにも独善的

 科学松鼠会のメンバーである食品科学作家の雲無心氏は、「味や香りの濃さだけで、火鍋に添加物が含まれるかどうかを判断する方法は、全くナンセンスであり、正確な判断は不可能だ。『一滴香』などの香り添加物の成分と、食材を調理した時に自然に発生する香り物質とは、非常に似通っており、味や香りの濃さだけから、火鍋に有害な人工添加物がどれだけ含まれているかを判断することはできない」と指摘した。

 国家食品安全リスク評価センター副研究員を務める鐘凱博士は、「香辛料をベースにした鍋を作って食べると、丸1日以上、服にも香りが残っている。また、残り香の強さは、スープの濃さ、食べていた時間、着用していた服の素材によっても違う。ウールのセーターやダウンジャケットなどは、香りを吸収しやすく、冬に火鍋を食べると、残り香はいっそう強烈に感じる」と語った。
 
 鐘博士は、「服に香りが強く残った、というのは、かなり主観的な言い方だ」と続けた。

 科学事業普及サイト「果殻網」は、「火鍋を食べると、油分を帯びた水蒸気が身体や衣類に付着する。油に含まれる香りの分子が服に付くと、大変揮発しづらい。天然の香りにもこの分子は含まれる。また、服に移った火鍋の香りの強さは、風通しの条件にも大きな関係がある」と指摘した。

○使用基準通りに「一滴香」を使えば無害

 今回、「一滴香」の発ガン性が、各種メディアで取り上げられた。報道によると、この調味料は、化学物質を直接合成した化工製品だという。

 食品科学作家の雲無心氏はこれについて、「『一滴香』の主成分は、メイラード反応(食品に含まれるタンパク質やアミノ酸と糖が化学的に作用して褐色物質を作る反応)によって生じた物質だ。メイラード反応は、食品化学における基本反応のひとつであり、生じた物質は非常に複雑な混合物で、構成成分は数百種類に上ることもあるが、通常は無害である。メイラード反応による産物は、特別な香気を放つ場合が多く、例えば焼き肉の香りはこのメイラード反応によって生じる。従って、技術的には、無害でありながら調味料として優れた香りを作ることができる」と語った。

 これまで、「一滴香」をめぐり、さまざまな議論が交わされてきた。有毒の化工原料という意見の多い「一滴香」は2011年、衛生部から「お墨付き」を与えられた。衛生部は、審査の結果、「一滴香」「火鍋漂香剤」などは全て、食品香料の部類に属し、使用が許可された添加剤を用いており、生産基準も設けられた正当なものだという評価を下した。使用基準に則して使えば、人体には安全・無害で、広く使用されている中華風だしの素「鶏精」と大きな違いはないという。(編集KM)
 
 「人民網日本語版」2013年7月25日

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