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旅客機、娘を事故で失った母親のために離陸後Uターン

 長沙に住む陳菁さんは出張先の杭州で、娘が交通事故で死亡したことを聞き、無我夢中で空港に駆け付けた。しかし、空港に着いたのが10分遅れたため、搭乗予定便は滑走路を走り出し、大空に飛び立つところだった。絶望のどん底に突き落とされた陳さんだったが、事情を知った航空会社、機内の乗客、空港は、この母親のために航空機を空港にUターンさせることに同意した。この事件から1週間近く経った21日、杭州空港はこの母親から感謝の手紙を受け取った。新華網が報じた。

 陳さんは、出張から急ぎ戻らなければならなかった経緯について、詳しく手紙にしたためた。今月15日、長沙から杭州に出張中だった彼女は、娘と姑が交通事故に遭い、娘は現場で即死したことを自宅からの電話で知らされた。訃報を聞いた陳さんは、すぐさま帰路便を予約、16日午前0時5分発南方航空杭州-長沙直行始発便のチケットを取った。

 だが、陳さんが杭州蕭山国際空港に到着したのは予定より10分遅く、搭乗手続はすでに締め切られていた。絶望のどん底に突き落とされた彼女は、空港で声が枯れるほど号泣した。彼女の泣き声を聞いた空港係員は事情を知り、南方航空の杭州空港職員に連絡を取った。機内の乗客133人の同意を得て、飛行中の航空機は途中で折り返した。このため、同機は1時間遅れて長沙に到着した。
 
 このような事情で南方航空便が飛行中に折り返したのは、杭州エリアでは初めてのケースだったという。

 南方航空職員によると、「航空機がUターンするコストは決して安くはない。最も直接的な出費は、燃料の消耗だ。というのも、航空機は上空を飛行する時に比べ、離発着時により多くの燃料を消耗する。幸いにも、深夜の時間帯だったので、離発着便の数がかなり少なく、他の便に影響が及ぶことはなかった」と話した。

 今回の航空機Uターン事件は、「このように、『まっとうな理由』から、規則に反し航空機を折り返すことに集団が同意した行為は、感動ものだ」と、多くのネットユーザから賛同が得られた。「今回の判断と行動は、まさに『人を大切にする心』の表れであり、ルールに違反したとはいえ、人間本位の姿勢が反映されており、称賛に値する」「一市民の個人的事情に『青信号』が灯されることは、極めて稀なケースだ。さらには、乗客の同意を得られたことには深く感動する」などのコメントがネットユーザから寄せられた。

 しかし中には、「このようなやり方は、やはりルール違反だ。急を要する乗客全員の要求にいちいち応えていては、航空業の秩序が守られないのでは?このような問題の解決に向け、特別対応体制・保障関連規定を制定する必要がある」という指摘もあった。(編集KM)

 「人民網日本語版」2013年9月24日

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