中国は通貨の安定を維持 マネーサプライの拡大なし (3)
▽2つの困難の中、適度な安定を維持
どちらにも進めない困難の中、中国は安定した通貨政策を引き続き堅持することを選択した。人民銀は同報告の中で、通貨貸出と社会での資金調達の規模が安定的かつ適切に増加するよう誘導し、通貨環境の安定を維持するとしている。
孫教授は通貨政策は緩めても引き締めてもだめで、適度に安定したものであることが正しい選択だとし、次のように述べた。第一に、中国は金融危機のダメージを受けてすぐに対策を取り、他の国よりも順調な経済復興を遂げており、他国のように通貨緩和政策を採用する必要はない。第二に、中国の財政は赤字だが、危険なレベルではなく、先進国に比べ、財政政策が役割を発揮する余地はより大きい。現在の中国経済のポイントは構造調整であり、この面で財政政策は通貨政策よりも力をもつ。
孫教授によると、中国経済の成長ペースは低下しているが、現在、失業率が目立って増加しているということはない。カギは雇用であり、成長ペースではない。構造調整の時期には、経済成長ペースがそれほど急速になることはなく、通貨緩和政策をすぐにも必要とすることはない。また現在のPPIは順調とはいえず、注意する必要があるが、切迫しているわけではない。なかなか順調にならなかったなら、具体的な状況に基づいて調整を行えばよいという。
市場で聞こえる金利引き下げの憶測について、専門家の多くが可能性は低いとの見方を示す。対外経済貿易大学金融学院金融研究所の范言慧副所長によると、金利を引き下げればインフレを誘発し、不動産価格を刺激して上昇させる可能性がある。金利がこれまでの水準を維持する可能性の方が大きいという。
香港中文大学全球経済及金融研究所の荘太量所長によると、中国は他国と異なり、金利の市場化を実施しておらず、金利に対して他国ほど敏感な反応を示さない。よって金利という手段によるマクロ経済の調整作用は大きくなく、他の新興市場国の後を追って金利を引き下げる必要はないという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年5月14日