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【第24回】売買契約における品質検査条項の盲点

 1 売買契約によくある品質検査条項

 売買契約を締結する際に、契約条項の1つとして盛り込まれる品質検査条項において、その売買目的物の品質の検査方法がよく問題となります。買主側は目的物に瑕疵があった場合の救済措置を当然講じておきたいし、一方の売主側は長期間にわたる品質保証期間の設定は負担となるために避けたい、という双方の主張の違いが背景にあるからです。

 実務においても、15日間や30日間などのようにあらかじめ一定の品質検査期間を設定し、売主はこの期間内に目的物の品質を検査しなければならず、期間内に目的物に瑕疵を発見できれば買主は売主に責任を追及することができ、この期間が過ぎても買主からとくに主張がない場合は目的物の品質に問題がないとみなされる旨の品質検査条項がよく見受けられます。

 そこで約定の品質検査期間が過ぎた後に目的物の瑕疵が発見された場合、買主が売主の責任を追及できるかどうかが問題となります。

 2 瑕疵責任が追及できないケース

 売買契約における目的物の品質検査において、中国の「契約法」では以下の規定が設けられています。

 ■「買主は目的物を受領した後に、契約に定めた検査期間内に検査を行わなければならない」(157条)
 ■「当事者間で検査期間を契約に定め、検査期間内に目的物の数量または品質が契約に定めた基準に合致しない状況が発生した場合、買主はこれを売主に通知しなければならない。買主が通知を怠った場合、目的物の数量および品質は契約の定めに合致しているものとみなす」(158条1項)
 ■「買主が合理的期間内に通知をせず、または目的物を受領した日より起算して2年以内に売主に通知しない場合、目的物の数量および品質は契約の約定に合致しているものとみなす」(158条2項)

 上記諸規定により、売買契約において品質検査期間が設けられた場合、買主は約定した品質検査期間内に目的物の品質を検査しなければならず、これを怠ると、たとえ後日目的物に瑕疵を発見したとしても、売主に対してその品質責任を追及できなくなります。例えば、売買契約で15日間の品質検査期間が設けられていれば、買主は15日間に品質を検査し、瑕疵があればこの期間内に売主に主張する必要があります。

 3 瑕疵責任が追及できるケース

 約定の品質検査期間が過ぎ、買主から品質問題の主張がないからといって、売主は完全に安心できるわけではありません。以下の3つの場合において、買主は検査期間を過ぎても売主の責任を問うことができます。

 (1) 品質保証期間が存在する場合

 特定の商品について、その生産者や販売者が一定の品質保証期間を設けておくことがよくあります。これは生産者または販売者が当該商品の特性、用途、業界基準などの要素を十分に考慮したうえで、不特定の購入者に対して行う一般的な約束です。この場合、当事者間で契約に別個の検査期間を設けていても、品質保証期間が優先的に適用されるため、契約における検査期間を過ぎても買主は依然として売主に対して品質保証責任を追及することができます。

 (2) 売主が瑕疵の存在を知っていた場合

 売主が買主に目的物を引き渡す前に、すでに目的物に瑕疵が存在していることを知っている、または知り得たにもかかわらずこれを買主に明示しなかった場合、約定の検査期間を過ぎても買主は売主の責任を追及することが可能です。買主のこの権利の主張にとくに期間の制限はなく、5年後10年後でも瑕疵責任を追及できます。

 (3) 目的物に「隠れた瑕疵」が存在する場合

 通常の検査では発見できず専門的な技術鑑定を通して、あるいは一定の使用期間を経てしか発見できない瑕疵、いわゆる「隠れた瑕疵」が目的物に存在している場合、たとえ約定の検査期間が過ぎても、買主は売主の責任を追及することができます(「契約法」169条参照)。中国の「契約法」では「隠れた瑕疵」の主張期間はとくに設けられていませんが、北京の裁判所では2年間以内の買主の主張についてこれを認める傾向にあります。

 4 品質検査条項の提案

 売買契約を締結するときには、極力品質検査条項を設けておくべきでしょう。検査期間の約定がなければ、2年間以内は買主が売主に対し品質瑕疵責任を追及することが可能となり、売主にとってこれは大きな負担となります。検査期間を設ける場合、まず品質保証期間の有無を確認し、これがあれば両者間の整合性を守る必要があります。また、品質検査期間を設けるとしても、数量および目的物の外観については目的物の引渡日に検査することが可能であるため、引渡日に数量および目的物の外観の品質の検査を求める内容を盛り込むべきです。実務では品質に関わる売買契約の紛争は跡を絶たず、品質検査条項をきちんと定めれば一部の紛争を未然に防ぐことができます。


 作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学)
 

 作者: 李航  潤明法律事務所弁護士 神戸大学法学修士(同大学法学研究科博士後期課程中退)

 「人民網日本語版」2009年6月4日

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