人民元為替レート改革の利点が大きい
中国人民銀行通貨政策委員会の李稲葵委員はメディアのインタビューに応じ、「為替レート形成メカニズムの改革を再開するときがきた。今後、人民元為替レートは双方向に変動し、柔軟性を持つだろう。ただ、現在は人民元の大幅な変動、特に対ドルレートの大幅切り上げの条件は存在しない」と述べた。李稲葵氏はインタビューに対し、以下のように語った。
為替レート形成メカニズムの改革を再開するときがきた。中国国内を見ると、経済のV字型回復の動きは非常にはっきりしている。世界全体を見ると、欧州債務危機が発生したが、全体的に言って経済の全面的かつ大規模な2番底にはならない。
今後、人民元が双方向に変動するメカニズムができ、切り上がる可能性や対主要通貨で下落する可能性もある。ユーロの対ドルレートがさらに大幅に下がる、またはドルのその他の通貨に対するレートが大幅に上昇すれば、人民元は主要通貨の価値を参考にし、対ドルレートがある程度下がることも考えられる。そのため、人民元の対ドルレートを大幅に切り上げるということは理解できない。人民元が切り上がったとしても、歴史的経験に基づき、比較的合理的で、許容できる範囲内に抑え、漸進的な、制御可能な切り上げとなる見通し。
現在の中国経済の動向を見ると、為替レートの大幅な変動の条件は存在しない。近ごろ、中国の貿易黒字額は絶えず減少し、経常収支黒字がGDPに占める割合は2008年の9.9%から5.8%に縮小した。今年1-5月の動向を見ると、今年の貿易黒字額がGDPに占める割合は約2%まで下がる可能性が高い。こういった状況下で、人民元には当然、大幅な変動、特に大幅切り上げの可能性はない。
どんな改革にもプラス点とマイナス点がある。プラス点を見ると、人民元の双方向の変動は中国の輸入型インフレ圧力を緩和するのにプラスとなり、輸出企業の産業のレベルアップと転換を促す役割もある。マイナス点を見ると、人民元為替レート改革は短期的に一部の輸出型企業に困難をもたらす可能性もある。しかし2005年の為替レート改革以降の経験では、人民元は20%以上上昇したが経済に大きな悪影響はもたらされていない。為替レート改革は中国経済の構造転換、発展モデルの転換にとって、全体的にプラス点がマイナス点よりも大きいと言える。
為替レート改革は輸入企業にチャンスを与え、企業の輸入商品の価格は下がる見通し。また、中国の輸出企業も為替レート改革によってもたらされた試練に迅速に対応し、製品自身の付加価値や企業の収益力を高める必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月21日