「新車は値下がりしたのに、メンテナンスに必要な部品の価格はどうしてこんなに高くなったのか」。トヨタカローラのある所有者は、メンテナンスの見積もりを見て、疑問と怒りの声をあげた。
「最近、トヨタ車の所有者からこのような文句を言われることが多いのですが、私たちディーラーが値上げしたわけでなく、部品の価格はメーカーが直接管理していて、調整されるときは全国で一斉に調整されます」と話すのはトヨタディーラーの店員。「6月末から7月初め、一部部品が突然値上げされました。メーカーからあまり説明がなく、私たちはそれに従って見積もりを行うしかありません」
部品が値上がりする一方で、トヨタの中国合弁会社2社の新車価格は大幅に下がった。「トヨタリコール事件」の発生により、これまでずっと安定した価格を維持してきた一汽トヨタと广汽トヨタは、シェアの急激な低下を防ぐために「全車種の値下げ」を実行するしかなく、値下げ幅は最高で5万6000元に達した。
注目すべきは、トヨタが8月4日に発表した2010年4-6月期の連結決算。1904.7億円の利益を獲得して赤字から黒字に転換したと発表し、今期の利益予想を上方修正した。これには中国を中心とするアジア市場の功績が大きい。
トヨタが値下げによってシェアを守り、そのうえ利益追求も放棄していないことは明らかである。このような状況の中、トヨタがひそかに一部部品を値上げしたことは意味深長だ。全車種の値下げはトヨタの中国合弁会社に少なからぬ損失をもたらしたが、部品供給システム全体をしっかりと握っているトヨタ中国にとってみれば、ひそかに部品を値上げすることで、あるところの損失を別のところで補っているのである。
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