今年1月、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の観光部門の大臣が「2011-2015年ASEAN観光発展戦略計画」に調印した。計画の主要目標として、5年以内にASEAN版「シェンゲン協定」(加盟国相互をビザなしで自由に通行できるという協定)を締結するとともに、同協定の非加盟国からの旅客に対して一つのビザでASEAN10カ国内を自由に通行できる「単一ビザ」を発給することがうち出された。現在、ASEAN内部でこうした計画についての実行可能性の研究が進められている。
ある東南アジア国の関係者によると、単一ビザは中国からの観光客誘致にプラスになる。中国はASEANにとって未来の最も潜在力ある観光客供給国だ。多くの国のデータから、東南アジアを訪れる中国人観光客は現在、激増期にあることがわかる。シンガポール政府観光局がまとめたデータによると、昨年の大陸部からシンガポールへの観光客はのべ117万人に上り、前年比25%増加した。タイのタイ・中国農民研究センターの予測によると、昨年はのべ112万7800人だった大陸部からタイへの観光客は、今年はのべ140万人を超え、タイに380億タイバーツ(約12億ドル)の観光収入をもたらすとみられる。カンボジア紙「星洲日報」がまとめたデータでは、カンボジアが昨年1-11月に受け入れた中国人観光客は16万800人に達して、前年比40%増加し、中国人観光客が初めて米国と日本からの観光客数を上回った。現在、ASEAN10カ国が毎年受け入れる観光客の40%はASEAN各国からの観光客、20%は中国、日本、韓国からの観光客、10%は欧米からの観光客となっている。ASEANは、単一ビザの発給によって、中国がASEAN最大の観光客供給国になることを願うとしている。
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