元高の時代、経済と国民生活に与える影響とは
11日、人民元の対米ドル中間レート(基準値)は1ドル=6.3991元で、6.3元台に突入、為替制度改革以来の最高値を更新した。
対外経貿大学金融学院の丁志傑院長は、「市場からの後押しを受け、このほど元高が進んでいる」と語った。直近のデータによると、中国の7月の貿易黒字は314億8400万ドル(約2兆4500億円)に達し、2009年2月以来の最高値となった。7月の輸出高は1751億3000万ドル(約13兆6000億円)に達し、6月に更新された1ヶ月当たり1619億7000万ドル(約12兆6300億円)の記録を再更新した。「貿易黒字の予想を上回る大幅成長、輸出高の増加を受け、外貨が十分に確保され需要を上回っていると見なされ、元高を招いた」。
主な先進国の経済復興ペースが鈍化し、このほど欧米主権債務の危機が深刻化する状況下、中国経済は依然として高度成長を保っている。この鮮明な対比により、元高傾向が強まっている。
△元高は中国経済にプラスの影響を与え、輸出に大きな圧力をもたらすことはない。人民元名義の有効な為替レートは安定するか、小幅に下落する見通し
専門家は、元高は全体的に中国経済にプラスの影響をもたらし、短期的にはインフレ防止、中・長期的には経済発展方式の転換に有利であるとしている。
交通銀行の連平・首席経済専門家は、「元高傾向は、沿海の輸出産業の技術力強化、製品イノベーション、中西部地区への移転を推進する。同時に輸出部門の資源を、サービス業など内需部門に向けることを促し、経済の輸出に対する過度な依存を防ぐことができる。これらは産業のアップグレード、構造改革、経済発展方式の転換に役立つだろう」と指摘した。
元高が輸出企業の経営に影響することはないだろうか。丁院長は、「6.3元台突入は、輸出や貿易黒字といった市場からの後押しによる結果である。これは中国製品が国際競争力を持つことを意味する。ゆえに元高が輸出に対して圧力を形成することはない」と分析した。
中央銀行(中国人民銀行)は昨年の6月19日、人民元の弾力性を高めるという声明を発表すると、人民元の対米ドルレートは計6.7%上昇した。しかし人民元のレートは、対円、対ユーロ、対ポンド等で下落したため、人民元名義の有効な為替レートは全体的に安定するか、小幅に下落する見通しだ。
中国の一般人にとって、元高は手元のお金の価値が上がることを意味し、海外旅行、消費、留学の際に得をすることになる。