日本の産業構造調整、中国が商機をつかむ
欧州債務危機の悪化と米国経済の低迷により、世界経済に暗雲が立ち込めている。中国のWTO加盟以降のグローバリズムの流れを受け、世界規模の産業調整が進められている。この調整はローエンド製造の発展途上国への移転のみならず、発展途上国が近年になり、高水準の製造分野で先進国と競争している点にも表れている。中国経営網が報じた。
日本産業界、特にソニーやパナソニックを代表とする大手製造グループ各社は、産業グレードアップ調整計画を実行中だ。
報道によると、消費電子製品で有名なソニーの同業務は現在赤字に陥っており、利益を支えているのは金融サービスだという。金融サービスには、生命保険、非生命保険、銀行業務が含まれる。ソニーは今年11月、年間赤字予想をさらに下方修正し900億円とした。ソニーの近年の会計報告書によると、ソニーは今年を含めると4年連続で赤字を計上している。ソニーに起こったような変化は、日本国内では珍しくなく、普遍的な産業調整現象となっている。
日本の東アジアの隣国である中国と韓国が、製造分野で日本企業に攻勢をかけている。日本企業はローエンド寄りの産業チェーンからの撤退を開始している。パナソニックの巨額赤字の背景には、競争力の低下に伴う産業構造のモデルチェンジがある。現状を見ると、このすう勢が顕在化しつつある。パナソニックは現在、テレビ事業のアウトソーシング率は10%だが、数年間で30-40%とする目標を立てている。その他の事業について、パナソニックは2012年に7億2000万ドル(約555億円)を投じ、蘇州にリチウム電池の新工場を設立すると発表し、かつ3-4年間で中国における生産比率を、現在の10-20%から約50%まで高めるとした。一方、ソニー液晶テレビのアウトソーシング比率も、2010年の50%から2011年の75%まで拡大した。アウトソーシング、事業移転を行っている企業は、ソニーとパナソニックだけではない。今年10月、三洋電機は洗濯機や冷蔵庫等の白物家電事業を、中国家電大手のハイアールに売却した。また中国の他に、韓国もあなどれない存在だ。21世紀以降、サムスンやLG等の企業は日系企業を追い越すことを目標とし、コスト優勢によりグローバル拡張を進めている。さらに韓国政府による韓国企業への資金・政策面の援助を受け、日本企業のシェアに大きく食い込んだ。