岐路に立つ「メイド・イン・ジャパン」
AFP(フランス通信社)が伝えた内容によると、「メイド・イン・ジャパン」ブランドは今、岐路に立たされている。歯止めの掛からない円高の影響から逃れるために、海外に生産拠点を移すべきか否か、数多くの企業が苦渋の選択を迫られ、苦悩の日々を送っている。
日本の経済産業省が今年8月に公開した調査結果によると、大手製造業の46%が「1ドル=76円前後の円高基調があと半年続くようなら、生産拠点を海外に移転せざるを得ない」と答えている。現在の円相場は1ドル77円近辺で取引されている。こうした日本経済に降りかかる円高リスクは日本国内の自動車産業の崩壊を意味している。トヨタ自動車の小澤哲・代表取締役副社長は先だって、円高などを要因に2011年4~9月期のトヨタ自動車の純利益が前年同期比72%減となったことを公表している。
ハイブリッドカー「プリウス」の製造責任者によると、1ドルあたり1円高くなる毎に、年間純利益は100億円減ることになる。今年3月時点で、トヨタ自動車が生産する自動車の半数近くが国内生産である。ライバル社である日産自動車よりもその数は多い。
半導体大手のエルピーダメモリ株式会社は、円高を理由に、国内にある工場の生産能力のうち40%を台湾に移転することを明らかにしている。同社の坂本幸雄社長は先だって、2011年9月中間連結決算は、最終損益 が567億円の赤字となったことを発表し、「超円高と急激な市況悪化のため、生産の海外移転の必要性に迫られている」と述べている。
また、東日本大震災で部品供給網が寸断されたことが、企業の海外移転を加速していると指摘する声もある。
グラフィックス用ペンタブレット市場において世界80%以上のシェアを占める株式会社ワコムは、震災後の国内電力不足による部品供給不足を受け、中国に部品生産拠点を設ける方針を固めている。