住友商事、中国でコメの流通業務に参入
住友商事が、中国でコメの集荷・販売業務への参入を予定している。同社は吉林糧食集団の子会社に投資し、早ければ今年秋より、上海などの都市部を中心に販売を開始する。同社は日本の厳格な管理制度を導入し、「安全・安心」のブランドを樹立し、富裕層向けに高級米を販売する。同社はまた、開拓した販売ルートを利用し、日本産のコメを直輸入することを検討している。中国商務部の公式サイトが伝えた。
吉林糧食集団は、中国でコメの輸出入権を持つ2社のうちの1社だ。住友商事は同グループと、子会社の「吉林糧食集団米業」に25−30%の出資を行うことで、ほぼ合意に達している。出資総額は10億円以上となる見通しだ。
中国の所得水準の向上に伴い、高額でも安心して食せる食材に対するニーズが高まっている。住友商事は中国で2020年までに、日本のコメ流通量の8分の1に相当する100万トンのコメを毎年販売する目標を立てており、売上高が500億円に達する計算だ。
中国の食品は、原産地等の表記が徹底されていない。住友商事は吉林糧食集団米業に対して、生産者、使用された農薬の種類および量等に関する、詳細な情報を提供する。同社はまた、契約農家を対象に、安全性の高い農薬および化学肥料等を販売する。
原産地が表記されたコメは、早ければ今年秋にも、上海・北京・広州・成都等の百貨店や大型スーパーで販売される。平均価格は1キロ当たり10−50元(約130−650円)となる。中国のコメ流通量は毎年1億3000万トンに達し、日本の約16倍に相当する。うち一部は高級米となっている。