安倍首相の3本目の矢 参院選を狙い撃ち
安倍晋三首相は6月5日に経済成長戦略第3弾を発表し、構造改革を経済刺激の実施日程に盛り込んだ。これにて、アベノミクスの提唱する急進的な金融政策、機動的な財政政策、構造改革の深化がすべて発表された。国際金融報が伝えた。
◆医療・国家戦略特区が重点に
安倍首相は同日、内外情勢調査会のスピーチの中で、新成長戦略の最後の一部内容を発表した。その重点は各種行政制度の緩和で、医療・健康・情報技術・農業・エネルギー・公共インフラなど、現時点では規制が多い分野への民間資本の導入を加速する。これまで発表された経済成長戦略の第1・2弾に合わせ、今回の第3弾は6月14日の閣議で正式決定される。
共同通信社は、「第3弾のキーワードは『民間活力の爆発』で、3年内に民間投資を約1割増加させ70兆円の水準を回復し、2020年までにインフラ輸出を30兆円に拡大することを目標とする」と報じた。
日本は世界で最も高齢化のペースが速い国家だ。そこで安倍首相は衛生・保健、医療機器、製薬業界を、経済成長の主な領域とした。一般用医薬品のネット通販に関して、関連閣僚間の協調を経て、一部の副作用の危険性が高い薬品を除き、99%以上の薬品がオンライン販売できることで一致した。もう一つの主要内容である「国家戦略特区」は、グローバル企業・人材を引き付ける新たな措置であり、特定の地区で優遇税制を実施し、規制を緩和する。具体的な措置には、国際学校の設立条件の改正、海外の医師による診療の参加といった新制度が含まれる。
その他にも安倍首相の成長戦略には、年金基金による株の購入、女性の雇用率上昇、小型農場の統合、電力市場および保健・インフラ産業などの開放が含まれる。これを踏まえた上で、10年後の国民総所得(GNI)を150万円増加させるという目標を実現する。
安倍首相の3本目の矢は、参議院選挙の1カ月前に放たれた。安倍首相にとって、参議院選挙はすでに始まっているため、全国各地に経済好転を実感してもらいたいのだ。
中国社会科学院日本研究所の日本問題専門家の厖中鵬氏は本紙のインタビューに応じた際に、「客観的に見て、アベノミクスの一部は日本経済を刺激するためのものだが、その出発点は安倍首相の政権基盤の強化だ。安倍首相がこの時期に第3弾の経済刺激策を発表したのは、7月21日の参議院選挙を見据えてのことだ。この時期に第3弾の経済刺激策を発表することで、国民の人心を籠絡し、景気低迷脱却を願う心理を利用し、政権与党の自民党が来たる参議院選挙でより多くの票を獲得できるようになる」と分析した。