多国籍企業の商業賄賂多発 監督管理システム強化を
英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の中国法人・葛蘭素史克(中国)投資有限公司の中国における贈賄事件から、ビジネスをめぐる反腐敗闘争の複雑さと難しさがうかがえる。腐敗は人類社会にとって共通の敵だ。多国籍企業の商業賄賂を厳しく摘発することは、市場経済の秩序を守り、公平な競争環境を維持する上で重要な意義がある。「人民日報」が伝えた。
多国籍企業の業務の国ごとの分布や推移を分析し、多国籍企業で多発する商業賄賂の特徴を考察すると、一部の多国籍企業が新興市場国や発展途上国で法律やルールに違反する事件をたびたび起こしていることがよくわかる。ひどい場合には、複数の多国籍企業が秘密裏に同盟を結び、独占行為によって暴利をむさぼるケースもある。グローバル経済の成長の活力と動力は発展途上国に集まりつつあり、発展途上国への投資が昨年の世界の対外投資全体に占める割合は約3分の1に増える一方で、多国籍企業に対する監督管理の遅れや未整備といった問題がますます目立ってきている。
多国籍企業と進出先国との関係は非常に複雑で、往々にして矛盾がありつつ協力は進めるという形を取る。多国籍企業は自身の利益を出発点とし、世界的規模で企業の経営戦略を定め、最大の利益を勝ち取ろうとする。ここ数年、一部の多国籍企業は市場での強みや技術面の優位性を利用し、代理人を通じて操作を行い、発展途上国の監督管理システムのすきをつくことに努めている。商業賄賂だけでなく、多くの多国籍企業に税金やプロジェクト入札をめぐる問題行為がみられる。
多国籍企業は強い力をもつところが多く、あらゆる方向に網を張って利益を吸い上げている。多くの発展途上国にとって、多国籍企業の監督管理は新たな課題といえる。現行の監督管理メカニズムには、政府の監督管理メカニズムと国際機関の監督管理メカニズムの2つのレベルがある。このうち政府による監督管理メカニズムは多国籍企業の進出先国による監督管理と出身国による監督管理の2つの部分で構成され、国際機関による監督管理メカニズムにも二国間の監督管理、地域レベルの監督管理、多国間の監督管理などさまざまなレベルがある。だが現時点ではまだ政府の監督管理と国際機関の監督管理との間には大きな隔たりがあり、多国籍企業の「事件」情報を多国間で交換するルートも通じておらず、多国籍企業の監督管理をめぐる政府間の話し合いは個別の案件をめぐって座礁するケースが多く、システムやメカニズムが十分に確立しているとはいえない。また現行の多国籍企業の監督管理の枠組の執行情況をみると、進出先国に過度に依存しており、出身国や国際機関の監督管理が発揮する役割は実際にはかなり小さい。