財政危機に陥ってすでに2年がたつ高級プラグインハイブリッドカーの開発・製造を手掛けていた米自動車メーカー、フィスカーの買収先がついに決まった。3日間で19回売却額が更新された末に、最終的に中国の自動車部品メーカー、万向集団が1億4920万ドル(約154億円)で買収することになった。中国経済週刊が伝えた。
世界的に見て、財政破綻によって倒産の危機に陥った自動車メーカーの合併・買収(M&A)騒ぎは、すでに見慣れた光景となっている。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターも世界中の自動車メーカーを次々と買収し、傘下に収めていったことで今の形となった。
米国3大自動車メーカーが2005年に財政危機に陥って以来、すでに10年近くも事業倒産や再生を繰り返している。また、2008年以来、金融危機が欧州自動車メーカーに与えた打撃も小さくない。
そんな中、自動車メーカーの世界的M&Aの檜舞台に立つのは、今や中国自動車メーカーとなった。特に今年になって、万向が米フィスカーを買収したほか、東風汽車が仏プジョーと資本提携を結ぶことで合意し、吉利汽車が英電気自動車メーカー、エメラルド・オート・オートモーティブを買収したことからも、この事実が見て取れる。
自動車産業界に詳しいアナリスト・王文氏によると、中国自動車メーカーによる海外メーカーのM&A熱はまだ始まったばかりだという。王文氏は、「欧米の自動車市場は疲弊しており、世界自動車業界の古い体系と勢力は現在崩れ去ろうとしている。世界最大の自動車市場を持つ中国の自動車メーカーから、将来、世界的な巨大自動車メーカーが誕生し、これらの新勢力によって新しい秩序が再構築されつつある」と指摘する。
■欧米自動車メーカーは援助を求めている
近年、欧米の自動車市場は低迷が続いている。経営不振に陥っている欧米の自動車メーカーらが大きな債務を抱えながら、過去の輝かしい栄光をもとに、世界中いたるところで援助を求める光景は、すでに世界の自動車市場で一般的に見られるところとなった。
フィスカーが最終的に資金援助を求めざるを得なくなった主な要因として、偶発的なトラブルに見舞われたことが挙げられる。米国のカリフォルニアに本社を置くフィスカーは2007年に設立されたプラグインハイブリッド車の新興メーカー。創始者は、アストンマーチンDB9 やBMWZ8などをデザインした著名なカーデザイナーのHenrik Fisker氏だ。フィスカーは全精力を傾けてこの車種を開発したが、この高級車が不運だったのは、米国の環境保護庁の認可が下りて市場に出回るまでに、製造完成から3年もの時間がかかったことだ。そして、ようやく市場に出回ったものの、一年に3度もの火事に見舞われてしまった。