米国司法省は19日、日本のトヨタ自動車が2009年秋から10年初めにかけて、自動車が突然加速する問題で真相を隠し、詐欺的な説明を行い、米国の消費者と管理監督機関を誤解させたことについて、12億ドル(約1227億円)の罰金を科すことを明らかにした。人民日報が伝えた。
12億ドルは米国における自動車メーカーに対する罰金としては過去最高額になる。トヨタにとって、世界2位の市場である米国での安全をめぐる事故はこれ1件だけではない。最も深刻なケースは09年8月に起きたレクサスES350の事故で、運転席に置かれたフロアマットが原因で自動車が暴走し、時速160キロメートルに達してブレーキが利かなくなり、4人が死亡したというものだ。米国監督管理部門はトヨタが事実と真相を明らかにしなかったとして、巨額の罰金を科した。これはトヨタに対する厳しい制裁であると同時に、業界に対する見せしめの意図もあった。米国運輸省のアンソニー・フォックス長官は、「12億ドルの罰金はすべてのメーカーに対する強いシグナルだ。製品のリコール(回収)要求を厳格に遵守するか、重大な結果に直面するかだ」と述べた。
米国の力強い法執行(エンフォースメント)措置は消費者の権利保護制度を充実させ、企業の社会的責任を強化する上で、大いに参考にする価値がある。
第一に、対外開放とは多国籍企業が消費者の権利を侵害するのを放任するということではない。米国は経済の対外開放レベルは高いが、消費者の権利侵害については絶対に認めないという態度をこれまでずっと貫いてきた。これは経済グローバル化への対応における米国の成功体験であり、中国の対外開放政策のグレードアップ・バージョンアップにおける必然的な選択でもある。
第二に、市場が柔軟性を失い、企業が慎重に自らを律することができなくなった時、政府も柔軟性を失う。消費者は経営者よりも弱い立場にいるのが一般的だ。消費者の権利を侵害する行為が大規模に発生した場合、砂のように散らばった消費者が徒手空拳で立ち上がり、それぞれが自分の権利を守るために戦うというのは、現実的ではないし、公平でもない。こうした場合は政府が乗り出し、旗幟を鮮明にして消費者の権利を保護し、公平な市場取引と競争の秩序を守らなくてはならない。米国がトヨタを厳罰に処したのは、自国の納税者を守ろうとする米国政府の決意の現れだ。