自動車社会への道を進む中国

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中国の自動車産業発展史

 編集者記

 中国はすでに世界最大の自動車生産国となり、自動車消費市場となった が、自動車強国ではない。今年1月から8月までの中国の自動車の生産・販売台数は前年同期比35.45%増の1091万4500台と31.53%増の945万6900台と、全体的に堅調な伸びを見せた。国家の政策に恵まれ、省エネ自動車などの新エネルギー車分野の発展が好調で、世界の注目を浴びている。しかし、自動車保有台数の急速な伸びにより引き起こされる環境問題、交通渋滞、駐車場不足などが深刻化している。どう生産過剰を避け、自動車大国から自動車強国に移行するか、どのような方法で自動車社会を建設していくかが中国直面している問題である。

中国自動車 市場の現状
焦点になる新世代自動車
中国自動車産業が「消化不良」の恐れ
中国の課題:自動車大国から強国へ
1985年 2000年10月 2007年12月26日

 国内で初となる合弁乗用車メーカーが誕生。中国の現代的な自動車工業の発端となった。1985年3月、改革開放の総設計師といわれたトウ小平が最終決定を下した国内初の合弁乗用車メーカー、上海大衆(VW)が成立。

 第15期中央委員会第4回全体会議で「国民経済と社会発展に関する第10次5カ年計画」が審議・通過した。この計画によってマイカー購入が奨励されるようになり、個人消費者向けのモデルが数多く市場に出回るようになった。

 8カ月にわたる商談の末、上海汽車集団と南京汽車集団のトップがついに手を組み、国有資源監督管理委員会と国家発展改革委員会の斡旋のもと、全面協力協議を締結。中国の自動車史上最大規模の産業統合となった。

1988年5月17日 2001年12月11日 2008年

 第一汽車とドイツの大手自動車メーカー、フォルクス・ワーゲンがアウディの技術上と協議を締結した。これより2年前、一汽は輸入部品を組立てる形で「アウディ100」を100台と試験的に組み立て、本当の意味で中国企業が国際基準の高級車を大量生産した。

 中国が正式に世界貿易機関(WTO)に加盟、自動車市場は徐々に開放されていった。2002年1月1日、政府は7回目の自動車の輸入関税引き下げに踏み切り、車の関税は2001年の70%(排気量3L以下)と80%(排気量3L以上)から06年7月1日には25%にまで引き下げられた。

 2008年4月20日、広州ホンダが自主ブランド「理念」およびブランドロゴを発表、あわせてSUVコンセプトカー「理念」を発売した。広州ホンダは合弁企業で初めて自主ブランドを展開する先駆者として、中国の合弁自動車メーカー独自の新たなスタイルを打ちたてようとしている。

1991年2月8日 2002年  

 一汽大衆有限公司が長春に設立。投資額42億元。中国とドイツの持株比率は6:4。中国最大の合弁自動車メーカーが誕生した。

 中国の自動車の生産・販売台数がそれぞれ325万台と324万台を突破し、前年比38%と37%増となった。なかでも乗用車の販売台数は前年比55%増の109万台に達した。

 
 
1997年 2004年6月1日  
 広州標致(プジョー)の失敗はひとつの悲劇となり、中国の「三小」(小型車を北京汽車、天津汽車、広州汽車に限定する政策)構造を変えることになったが、中国の自動車工業の発展の歩みを止めることはなかった。プジョーは2003年に再び巻き返しをかけ、今では中国で順調に発展している。1997年、設立から12年の広州標致が破産宣告し、プジョーは広州から撤退した。ホンダが1ドルで広州標致のすべての株と債務を買い取った。

 「自動車産業発展政策」が正式に実施。10年間実施されてきた「自動車工業産業政策」が幕を閉じた。1994年度版の政策と比較すると、新政策ではブランド戦略が提案され、独自の知的財産権をもつ製品の開発、合併再建を奨励し、国内の自動車メーカーの強大化を促進すると同時に、省エネルギーで環境にやさしい新型燃料車の開発を奨励している。

 
 
   
   

データ

中国自動車技術研究センターが1日発表した8月の中国自動車産業発展状況によると、今年1月から8月までの中国の自動車の生産・販売台数は前年同期比35.45%増の1091万4500台と31.53%増の945万6900台と、全体的に堅調な伸びを見せた。8月の全国の自動車生産台数は前月比2.74%減、前年同月比10.15%増の120万4200台、販売台数は前月比15.09%増、前年同月比55.72%増の121万5500台。7月に落ち込んだ販売台数が勢いを取り戻し、例年より早く売上を伸ばす時期に入った。

目標・予測

 10年の努力を経て、中国自動車産業は2020年には以下の目標を達成する見通し。▲重要なコア技術が飛躍的に前進、確立し、省エネ・新エネルギー自動車の技術が全面的に世界先進レベルに達する。▲完成された省エネ・新エネルギー自動車産業体系が確立し、強い国際競争力を持つ完成車と主要部品の企業が育成される。▲純電気自動車とプラグイン式電気自動車の販売台数が大幅に増加する。▲自動車の燃費が全面的に世界先進レベルに達する。

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自動車量急増に引き起こされる問題点

 昨年、国内の自動車販売台数が急増したため、メーカーの多くが増産計画を立て、今では業界全体で在庫が増えている。国内の主要メーカー30社が昨年末までに生産した自動車台数は1359万台、2015年末までに3124万台を生産する計画だ。地方政府の関係部門が掌握した状況によると、「第12次5カ年計画(2011?2015年)」末期には生産台数が市場の需要を大幅に上回ることになるという。自動車保有台数の急速な伸びにより引き起こされる環境問題、交通渋滞、駐車場不足などが深刻化している。特に、交通渋滞問題が近年、社会問題の一つになっている。

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企業の動き

 国際自動車工業連合会(OICA)がこのほど発表した統計データによると、長安汽車は09年、生産台数が142万5千台で中国の自動車メーカーの中ではトップ、世界では第13位となった。長安汽車は自社ブランド製品の生産・販売台数が100万台を超えた唯一の中国企業となった。また、中国市場で大きな利益を得ているのは依然として外資メーカーだ。自社ブランドの販売台数別で見ると、中国における自動車大国の地位は、日本に譲らなければならない。

消費者の動き

 自動車市場が世界的に低迷する中で、中国自動車市場がこれまでになく重視されている。海外の自動車メーカーは中国でクルマを売り、中国でクルマを作り、中国のためにクルマを作り、中国人消費者の動向を熱心に研究している。そこで、中国人消費者がクルマを購入する時の傾向をいくつか挙げてみた。▽ほしいのは人気車種▽昔からあるクルマが好き▽人の意見に左右される▽長いクルマが人気▽値下げ時に買わない▽運転感より乗り心地。

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 省エネルギーや新エネルギー自動車の新たな購入補助政策や、省エネ自動車の普及事業などが相次ぎ打ち出されたことで、自動車市場が刺激された。中国自動車技術研究センターの統計によると、乗用車の販売台数が前月比で3.44%減少するという状況下で、第1弾71車種の省エネ自動車の7月の販売台数は5万7353台で、前月比11.75%増となった。1台あたり3000元の支給額で計算すると、7月に国が支給した補助金額は1億7200万元となる。

 現在、新エネルギー車が直面する困難は主に次の3点だ。第一に、100年の歴史や伝統をもつ内燃機関自動車に比べると、新エネルギー車には技術のさらなる向上が必要だ。第二に、中央政府や地方政府の補助金を受けたとしても、新エネルギー車にかかるコストは依然として非常に高い。第三に、先進国に比べて、中国ではインフラ設備をめぐる制約を乗り越えるのにより大きな困難がつきまとう。

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 中国、新エネルギー自動車の発展情勢は良好
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 補助金政策に成果 省エネ自動車の売れ行き好調

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 新エネルギー車の産業化もさまざまな課題に直面している。動力用バッテリーやエンジンなど核心部品の性能、品質、価格が完成車に求められる水準には達していない。動力用バッテリー、エンジン、電気制御など核心技術の研究開発に今後も力を注ぎ、新エネルギー車の製品基準や評価体制をより充実化していく必要がある。このほか、インフラ建設の遅れなども新エネルギー車の産業化を妨げる要因となっている。

 中国の自動車業界ではここ数年、生産能力の過剰が議論の的となっている。しかし能力過剰が現実化しているかどうかは、業界ひいては社会全体でも意見の分かれるところだ。こうした中、中国国家発展改革委員会はこのほど、自動車の生産能力を今後抑制する方針を表明した。この発言が自動車大手の過剰投資に対する警鐘となったことは間違いない。

 中国2009年の新車販売台数は1364万台に達し、多くの企業が大規模な生産拡大を進めている。調査によると、中国国内の自動車大手30社を合わせた完成車の生産能力は2009年末、1359万台となり、2015年には3124万台に達する見通しという。地方政府の関連部門が明らかにした計画状況では、第12次5カ年計画末期の生産能力は国内需要をはるかに上回っている。自動車業界としては潜在的なリスクを懸念せざるを得ない。

現状 :生産能力>市場需要

 

2009年、活況を見せる自動車市場では自動車が飛ぶように売れ、生産が間に合わず入荷待ちの状況まで生じた。これを商機とみた各自動車大手は今年、生産規模の拡大を次々と進めている。

 

国内企業>>中国の自動車大手、長安汽車は「2012年までに供給能力を300万台に引き上げる目標を定めた。長期的には年間生産台数500万台を目指す」。長安汽車の責任者によると、中国の自動車産業は2020年までに4千万台規模に達する見込みという。

 

 吉利汽車も年初に、同社が蘭州(甘粛省)に持つ工場の規模拡大を決定した。第1期工事で改造、第2期工事では規模拡張を行い、生産能力を現在の5万台から12万台まで引き上げる計画。それにより、ユーラシア大陸横断鉄道の沿線各国に向けた輸出の足がかりを築く狙いだ。同社の責任者によると、2015年までに吉利汽車の生産能力は200万台となり、海外に15の生産拠点を建設する見通しという。

 合弁企業や外資系企業 >>米自動車大手フォード・モーターは、生産能力の向上こそが今最も肝心な問題との認識を示している。トヨタ自動車も引き続き規模拡張を進めている。トヨタが出資する合弁会社、一汽トヨタは今年5月、約36億元(約450億円)を投資して四川省に工場を新設した。これで中国におけるトヨタの生産能力は82万台程度に増加した。さらに報道によると、トヨタは長春市(吉林省)で約38億元(約470億円)規模の新工場建設プロジェクトを再開するとしており、2012年上半期に使用を開始する計画という。そうなればさらに10万台の増産が見込まれる。

 今年6月、上海 GM、上海汽車集団、五菱汽車による合弁企業である上汽通用五菱(SGMW)も工場拡張を行った。当時の報道によると、北部地域における生産の要である同社の青島支社が第2期拡張プロジェクトを開始した。2011年末までに完成する予定で、年間生産能力は現在の30万台から51万台へと70%以上の増加が見込まれるという。

 心配点:こうした工場拡張が繰り返されれば、生産2009年、自動車業界における供給能力の利用率は80%で、合理的な数値に留まっている。しかし2012年以降は供給能力が国内需要をはるかに上回るとみられる。このまま政策的措置を講じなければ、利用率は向こう数年で低下が始まり、深刻な場合は70%を割り込む恐れもある。そうなれば深刻な能力過剰が現実のものとなる。

専門家の意見

 自動車業界が合併再建の重点となったことに対し、業界専門家はその主な理由として、自動車業界は生産過剰と分散の状況が深刻だとの見方を示した。

 中国国家発展改革委員会産業協調司の陳斌司長:「第12次5カ年計画では生産能力の過剰を断固として抑制する」。この一言は、盛り上がりを見せる中国の自動車業界に冷や水を浴びせる形となった。

 渤海証券自動車研究員の邵琳氏:「国内には自動車メーカーが100社以上あるのに対し、米国には大手自動車メーカーが4社か5社しかない。昨年、国内の自動車販売台数が急増したため、メーカーの多くが増産計画を立て、今では業界全体で在庫が増えている。合併再建を通じて生産過剰を緩和すれば資源の浪費を防ぐことにもつながる」。

 自動車評論家の賈新光:「自動車業界はまだ全面的な生産過剰に陥っていない。2015年の市場規模が3000万台以上となるのは確実だ。関係部門はかつて2015年に中国でようやく自動車が普及するとしていたが、実際にはここ数年、低価格の小排気量車がよく売れ、中国はすでにマイカー時代に入った。最近の研究報告で、中国の住民の所得は低く評価されていると指摘されたが、このことも自動車消費にはまだ潜在力があることを示している」。

 中国の自動車生産・販売台数は急速な伸びを維持する見込みは、主に次の要因により決定される。マクロ経済の今後の成長という角度から考えると、中国経済の持続的かつ急速な成長を促進する主要な動力が引き続き存在する。政策の誘導という角度から考えると、09年に打ち出された「自動車産業調整・振興プラン」は、09-11年の自動車生産・販売台数の平均増加率を10%以上と明確に設定する。成長の動力という角度から考えると、国際金融危機の後、国内・海外の自動車企業も中国市場の潜在力を高く評価するようになった。成長の潜在力という角度から考えると、中国が擁する広大な三級市場、西部地域、中小都市などの自動車消費に潜む巨大な潜在力がまだまったく発揮されていない。

 しかし、2009年の予想を超える成長の後、2010年上半期の動きは楽観的とは言えない。2009年上半期の在庫はほぼゼロだったが、2010年上半期は数年ぶりに100万台規模へ急速な拡大となった。下半期の中国自動車市場はどのような動きを辿るか、在庫圧力の下で価格戦争が起きるかどうかに注目が集まっている。

 中国自動車市場 の10の試練:▲マクロ環境の影響はどれほどか▲自動車市場の奨励策の効果はどれほどか▲在庫圧力の影響はどれほどか▲価格戦争は勃発するか▲都市の自動車利用環境が自動車消費に「ノー」?▲社会からの制約▲原油価格がさらに敏感に▲農村自動車市場は救世主ではない▲安全、環境保護面の基準が高まる▲企業は本当にリスクを認識しているのか。

揺れる外資: 魅力  VS 賃上げ圧力

 金融危機以降、先進国国内の自動車市場の販売台数はガクンと落ち込んだが、大手自動車メーカーは中国経済の急成長や旺盛な消費ニーズに希望を見出した。昨年、中国の自動車メーカーはいずれも巨額の利益を上げた。巨大な利益を生むとして大手自動車メーカーの視線は中国市場に向けられている。欧米の自動車大手の投資リターン率は本国では4-5%にすぎないが、中国では20%を超えている。  中国市場の争奪と同時に、合弁メーカーは従業員の賃上げ圧力にさらされている。中国のブルーカラーの給料が現地の低賃金水準を下回っていることは、自動車製造業に存在する普遍的な問題となっている。労働者の不満は給料が低いというだけでなく、近年自動車業界が急成長し高利益を上げているにもかかわらず、彼らにはなんの見返りもないことからきている。調査によると、昨年、自動車業界の賃上げ率は9.1%だった一方、自動車業界の生産・販売台数の増加率は40%を上回った。

 中国自動車産業の市場規模はすでに1300万台を超え、ここ5年間の平均成長率は20%に達している。自動車産業が経済や社会の成長にもたらす影響は日増しに強まっている。しかし世界的に見ると、中国は自動車大国であって、自動車強国ではない。表現としては、◆中国の自動車産業は主に国内販売であり、輸出の割合が少なく国際化のレベルが低い◆中国の自動車工業には欧米、日本、韓国、中国という5カ国の生産システムが共存している。具体的には合弁製品が4分の3を占めているのに対し、中国独自ブランドの製品はわずか4分の1。ブランドの確立をはじめとするこうした一連の問題を、中国の自動車工業は今後克服する必要がある。

 中国の自動車産業は明るい見通しの影に、自動車強国への歩みを妨げるさまざまな障害を抱えている。中国の自動車産業は生産台数から見ると産業大国だが、産業強国とはまだ大きな隔たりがある。自動車社会を構築して、自動車大国から強国へ向かう中国は、国の実情を踏まえて独自の道を歩むべきだ。自動車販売台数を増やすことが根本的な解決策なのではなく、公共交通設備の発展に力を入れ、各都市が合理的な交通構造を設計して市民の足を確保することが必要だ。そうしてこそ世界と肩を並べることができ、自動車産業の発展と都市インフラ設備の建設がニワトリと卵のような関係になり、両者が相互に促進しあって、良好な発展をもたらすことが可能になる。


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