人民銀 3年ぶりに金利引き上げ

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 中国人民銀行(中央銀行)は19日、2010年10月20日から金融機関の人民元建ての預金および貸し出しの基準金利を引き上げると発表した。これにより一年満期定期預金の預金の基準金利が0.25%引き上げられて、現行の2.25%から2.50%となる。また期間一年の貸し出しの基準金利は0.25%引き上げられて、現行の5.31%から5.56%となる。普通預金の金利は据え置きとし、その他の預金・貸し出しの基準金利はそれぞれ調整する。

 人民銀が金利引き上げを行ったのは、07年12月以来約3年ぶり。07年は過剰な流動性とインフレ圧力に対処するため、人民元は預金・貸し出しの基準金利を6回にわたって引き上げた。08年9月以降は、国際金融危機に対処するため、金利引き下げに踏みきり、貸し出しの基準金利引き下げは5回、預金の基準金利引き下げは4回に及んだ。

中国の利上げ、通貨政策の方向性が議論の焦点に

 各国が追加の量的緩和を計画する中、中国は20日、突然の利上げを発表した。中国人民銀行のこの決定は市場に熱い議論を巻き起こしたが、なかでも、通貨政策は転換されるのか、通貨政策はどういう道に進むべきかが焦点となった。

中国人民銀行の金利引き上げに世界が注目

 中国人民銀行(中央銀行)が19日発表した意外な金利引き上げに国際金融市場がざわめき、米国、欧州、ロシア、日本などの株式市場と外国為替市場に小幅な動きがあった。外国の政府関係者や専門家の多くは、今回の措置はインフレと経済の過熱に歯止めをかけるのがねらいで、株価上昇にプラスとなると見ている。

【インフレを抑制】

 近ごろになり野菜や穀物、大口商品など新たな価格上昇要因が集中したことで物価上昇にさらに圧力がかかったため、インフレを懸念する。利上げにより預金が増加し、企業や個人の貸付ニーズが減少し、通貨需要の低下やインフレ予期の抑制に有利にはたらくと見ている。


【資産価格バブルを抑制】

 米国政府が量的緩和策を引き続き採ることが予測される中、米国の為替レートは下がり続け、国慶節以降、世界の金や非鉄金属などの大口商品の価格は高騰している。また、中国株式市場も続伸し、国慶節の連休後、上海・深セン株式市場の上げ幅はともに13%を超えた。利上げが通貨当局の資産バブルに対する懸念を表していることがわかる。


【明確な構造調整のシグナル】

一連の経済データにより、各界の中国経済の後退に対する懸念は徐々になくなり、好転の動きがより明確となっている。利上げは中央によるさらに明確な構造調整のシグナルでもあり、中国が発展モデルの転換を加速化する決心の表れだ。中国は経済発展の速度でなく、質に一層重視するようになる。


 世界経済のバランスある成長にプラス。ドル安と新興国市場の急回復により、世界の大口商品の価格は上昇し続けている。中国の金利引き上げは、世界の大口商品の価格上昇抑制にある程度の役割を果たす。

 中国経済の持続可能な成長が世界経済の持続可能な成長をを引っ張っている。中国経済がインフレにより減速すれば、世界経済の成長にも影響する。

 国際通貨の流動性を緩和。世界の他の新興市場はいずれも金利を引き上げ、国際通貨の流動性緩和にある程度貢献している。中国の金利引き上げもこのプロセスにつながる。

 一連の不動産取引規制に中央銀行による3年ぶりの利上げが加わり、多くの市場関係者は不動産価格が年末に下落することはほぼ確実と見ている。
 中国人民銀行の今回の金利引き上げは中国が持続可能な回復の段階に入りつつあると同時に、世界経済が二番底に陥るリスクが低下したことをあらわしている。中国の金利引き上げはアジア太平洋ないし世界経済に次の3つの影響をもたらすと予想される。

 一方、今回の金利引き上げはインフレ観測の管理や不動産市場の調整に重きを置きすぎており、株式市場に変動をもたらす可能性があるが、市場の基本的な方向性に影響を与えることはない。これまでに何度も行われた金利引き上げ後の反応をみると、市場は短期的には上下動するが、中・長期的には引き上げ以前の情勢を維持するができることがわかる。

回数

公表時間 調整方策

発表後初取引日上海総合指数値

12回

20071221日発表

 1年物預金基準金利0.27%引き上げ

 1年物貸出基準金利0.18%引き上げ

上海総合指数始値5017.19/終値5101.781.15%上昇)

11回 2007年9月15日発表

 1年物預金基準金利0.27%引き上げ

 1年物貸出基準金利0.27%引き上げ

上海総合指数始値5017.19/終値5421.392.06%上昇)
10回 2007822日発表

 1年物預金基準金利0.27%引き上げ

 1年物貸出基準金利0.18%引き上げ

上海総合指数始値5070.65/終値5107.671.49%上昇)
9回 2007720日発表

金融機関人民元建て預金・貸出基準金利0.27%引き上げ

上海総合指数始値4091.24/終値4213.363.81%上昇)
8回 2007519日発表

 1年物預金基準金利0.27%引き上げ

 1年物貸出基準金利0.18%引き上げ

上海総合指数始値3902.35127.91安)/終値4072.221.04%上昇)
7回 2007318日発表 金融機関人民元建て預金・貸出基準金利0.27%引き上げ 上海総合指数始値2864.26/終値3014.442.87%上昇)
6回 2006819日発表 金融機関人民元建て預金・貸出基準金利0.27%引き上げ 上海総合指数始値1565.46/終値2.87%上昇
5回 2006428日発表 金融機関人民元建て貸出基準金利0.27%引き上げ、調整後5.85 上海総合指数始値14ポイント安/高値1445/終値144023ポイント高)/1.66%上昇
4回 2005317日発表 住宅ローン金利引き上げ 上海総合指数0.96%下落
3回 20041029日発表 1年物預金・貸出基準金利0.27%引き上げ 上海総合指数終値1320/1.58%下落

2回

1993711日発表 1年物預金・貸出基準金利9.18%引き上げ、調整後10.98 上海総合指数23.05ポイント/2.65%下落

1回

1993515日発表 各種定期預金基準金利 平均2.18%引き上げ

各種貸出基準金利 平均0.82%引き上げ

上海総合指数27.43ポイント安/2.35%下落

 中国国際経済研究会の張其佐副会長:今回の利上げは金融危機への対応後の中国の通貨政策の重要な転換点であり、成長重視からインフレ重視への転換を意味する。

【G20】

 23日午後に閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(韓国・慶州)は、G20会議制度の正式な創設、経済危機の発生防止などが主に話し合われた。各代表は経済危機の防止について、各国の対策だけでなく、国際社会としての取り組みについても意見交換した。詳細へ

 中国人民銀行貨幣政策委員会委員で清華大学教授の李稻葵氏:現在の経済情勢は国内外ともに複雑であり、1回の利上げでは中国の通貨政策に根本的な変化が発生したとは判断できない。
 銀河証券首席経済学者の左小蕾氏:今回の0.25%の利上げでは現在の資産バブル問題を解決することはできないことから、今後連続して利上げが行われる可能性がある。

【通貨戦争】

 通貨戦争とは、各国が自国の通貨を通じて利益を最大化しようとすることにより発生する。貨幣の2つの基本的な要素は、価値と発行量だ。各国はこの2つの要素をコントロールすることで、相互に駆け引きを行い、それが激しくなると通貨戦争が勃発する。

 通貨戦争の本質は、世界的に莫大な金融資産を持つ一部の人々が、掌握する財産を使って経済・政治へ影響を及ぼし、一国もしくは数カ国、さらには世界に関わる金融の混乱を引き起こしたり、または新たな金融貨幣システムを作り出し...詳細へ

 米ロサンゼルスタイムズ紙:中国人民銀行の決定は暴走する不動産市場とインフレに歯止めをかけるねらいがあると報じた。同紙は「この決定は中国にとって正しい方向」と経済学者の言葉を引用。この程度の金利引き上げで中国経済が減速するはずがない。米国など中国に製品を輸出している国にとってはいいニュースだとした。
 イタリアの主要経済紙「Il Sole 24 Ore」:中国人民銀行の金利引き上げの目的は第一に経済成長の過熱抑制、第二に通貨市場のバランス調整、第三にインフレ抑制、第四に外貨準備高の急増を防ぐことにある 。
 ブラジルの「Folha De S.Paulo」紙:銀行の利率引上げは中国政府が経済の過熱とインフレを抑制するために取った手厳しい措置と報道。中国は利率引上げ後、経済成長が鈍り、原材料に対するニーズが減少し、石油や金融、農産品などの国際市場価格が下落する。
 日本経済新聞:中国のインフレと不動産バブルの抑制に役立つとの見方を示す一方で、金利引き上げ後、米国などとの金利差が拡大し、ホットマネーがさらに中国市場に流れ込む可能性がある。
  ・1-9月経済データ「今年の経済は急速に成長」

  ・中国1-9月期のGDP10.6%増、CPI2.9%増

  ・中国のCPI、8月は22カ月の最高水準に
  ・7月の中国のCPIは前年同期に比べて3.3%上昇
  ・中国経済のこの半年 上り調子を示す6つの点

  ・上半期の中国経済データ GDP11.1%増
  ・5月のCPIは3.1%上昇 19カ月ぶりの最高記録

  ・IMF出資比率:中国が3位に
  ・米国債、8月に今年最大の217億ドル増

  ・日本、中国抜き最大の米国債保有国に 2年ぶり
  ・「ホットマネーに引き続き高圧的な姿勢を」外匯局
  ・中国の外債残高、5千億ドルを超過 【世界のランキングにおける中国】
  ・中国 8月に日本国債を大量に売り越し 【人民元の国際化】
中国代表、G20財務相会議で立場を表明
人民元レート改革中国の立場は変わらず、態度を再三表明
通貨安競争 人民元の安定維持こそ世界に寄与
温総理「タイム」の顔に 記事は対人民元圧力に反対
「人民元改革=人民元上昇ではない」外匯局
中国経済の発展が世界経済の回復をけん引
 日本政府は10月20日に発表した10月の月例経済報告の中で、日本経済は「停滞している」と判断した。日本が景気判断を下方修正したのは昨年2月以来となる。

 日本経済の停滞の主な原因は円高とデフレで、その中でも円高が最も大きな原因だと一般的に見られている。

 日本経済の停滞と2008年の世界金融危機の実例は中国に対する警鐘で、中国国民に中国経済の台頭に得意になってはならず、日本から経験と教訓を汲み取り、景気停滞の道を歩まないよう注意を促している。

  ◇日本経済の停滞は中国への警鐘   ◇どうみる?最近の円高
  ◇景気停滞懸念 日本が4.6兆円の補正予算を検討   ◇日本経済をじりじり焦がす円高 企業は海外へ逃避
  ◇為替対策で中国が日本の二の舞を踏むことはあり得ず   ◇円が15年ぶりの高値 日本経済に二重の打撃
  ◇円が15年ぶり高値更新   ◇懸念や不安に包まれる日本経済
 日本、韓国、ブラジルなどは最近、単独での通貨対策を相次いで打ち出し、自国通貨の価値を押し下げようとしている。欧米諸国は新興経済体に全力で圧力をかけ、通貨の切り上げを迫っている。このほど米国ワシントンで閉会した主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、矛先が中国に向けられた。

 1930年代には世界大恐慌や世界大不況といった「通貨戦争」が発生し、今またその影がちらつき、大挙して押し寄せてきそうな勢いだ。

  ◇人民元、ふたたび「外側車線」に?
  西側7カ国が人民元包囲網   ◇中米貿易、再び一戦交えるか?
  ◇米ドル:「通貨安競争」の根源   一触即発の中米貿易戦争 米国にも痛手に

後書き

 懸念や不安定な国際市場を背景として、中国は断固に金利引き上げを行った。今回利上げは、中国政府が経済構造を合理化し、所得配分、リスク抑制、公平・効率などの面からバランスを取ろうとしている努力の表れであると同時に利上げはインフレ圧力を抑制し、「マイナス金利」状態を逆転させるのがねらいであると同時に、資産価格バブルの抑制に有利となり、中国経済の均衡かつ健全な発展を推し進めることができると予想されている。


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