森友治さんの暖かな日常風景の写真

 

 一般人にとって日常風景は公ではないことを指す言葉だ。もし撮影愛好家が高級なカメラを使って撮影した写真が全く平凡な場合、「日常風景」だと評されるだろう。日常風景の写真撮影には技巧を駆使する余地はなく、ただの個人的な記憶のためだと考えられていることが大きい。

 いわゆるポートレート撮影で最も重要なのは被写体に近づき、理解することだ。しかしどんなに他人を深く理解したところで、自分の家族や友人に対する理解には及ばないだろいう。もし家族や友人の写真に何のムードもないなら、ポートレート撮影の意味はないだろう。

 日本では梅佳代、川内倫子など多くの有名カメラマンが「自分」の生活をめぐるテーマで写真を撮影している。有名な荒木径惟氏の作品には驚かされるような要素があるが、それも氏の生活だと言うこともできるだろう。今回ご紹介するのは日記方式で写真の撮影で有名な森友治氏だ。

 家庭の生活風景を続けて撮影するのは、文学作品の「私小説」のように、何かの拍子で自己満足の犠牲品となってしまう可能性がある。日本では毎年新年に「全家福」(一家の記念撮影)がプリントされた年賀状が行き交うが、あまりにありふれていてじっくり見る気にもならない。しかし森友治氏の「ダカフェ日記」は多くの人々を魅了し、まるで盗み見のような魔力さえ持つ。

 森友治氏は1973年生まれ、福岡県出身。北里大学獣医畜産学部畜産学科を卒業し、豚の行動学を専攻した。「豚の気持ちを理解した」カメラマン兼デザイナーとして、撮影と美術デザインを生業としている。

 妻、息子、娘、ペットの子犬。森氏が長年にわたって撮影してきたのはこうした対象だ。生活のそれぞれの些細なことがレンズで捉えられ、強烈なコントラストや色彩はなく、複雑な構図もないが、家庭の写真の1枚ずつが幸福を漂わせている。レンズに捉えられた最も些細な、最もわずらわしい、最も平凡な生活である洗いざらしのシャツや息子の小さな足、風にそよぐ洗濯物のジーンズ、娘が持つ野の花、可愛い犬の寝姿、一杯のコーヒーなどのささいな生活が大きな幸福の力を備えている。またこうした力を表す森氏の表現力は見たところ素朴で平凡な独特の静けさとさりげなさで、逆に比べ物のない濃密な情感を表している。暖かい心の持ち主こそ見ることのできる風景だろう。

 2002年から始まった「ダカフェ日記」は普通の日本の家庭の日常生活を記録したものだ。この家庭は夫婦と子供2人、ペットの大きな犬で構成される。父親の森友治氏は自分のカメラでこの平凡で静かな生活を記録し、ブログに掲載している。最初の日記は妻の写真が中心で、ブログの「ダカフェ」の意味はだっちゃん(妻の大学でのあだ名)と一緒にコーヒーを飲むという意味だ。2人の子供が生まれた後は、やんちゃな息子の「空」とおとなしい娘の「海」が徐々に主役になってゆく。特に空の様々なおかしな行動が家庭を笑いで満たしてゆく。妻と娘、犬は家庭の静かな一面を表している。父親に教えられ、海と空も時にはカメラを手に父母を撮影したりする。敏感な観察力、独特の角度、家族への愛などが表れたこの父親の写真は暖かく、面白い。更新の頻度はそれほど多くないものの、毎日3万人近くが同ブログを訪れている。また「ダカフェ日記」は2006年度日本ブログ大賞写真部門の最優秀ブログに選ばれており、本にもなって好調な売れ行きを見せている。

 日常生活の悲喜こもごも、それぞれの瞬間が愛情こもった父親の視線でカメラに捉えられている。自分が子供だった頃の父母の姿や、自分の子供たちの子供時代の表情といった、人々の回想をさそう過程の日常風景がそこにある。「ダカフェ日記」は既に自分の家庭を持つか、将来いつか家庭をもつだろう私たちに、言葉では言うことのできない懐かしさを伝えてくれる。本の表紙に書かれているように、「しあわせって、きっとこういうこと」なのだろう。(編集YH)

 「人民網日本語版」2012年4月10日